華菜side
この某クラスメイトが篠原君が写っていると思われる写真を提示すると、見て見ぬふりで様子を伺っていた他のクラスメイト達が野次馬のように集まってきた。
そして、口々に篠原君に対しての悪口を言っていく。
それも、本人の目の前で。
「失望した」とか、「王子なんかじゃねぇじゃん」、とか。
主に男子。
嫉妬とかもあるんだろうけど・・・
みんな、酷いよ。
写真一つでこんなにも態度が変わっちゃうの・・・?
今は、委員会の仕事でほとんどの女子がいないけど、女の子もいたら、みんなそんなこと言うの?
その間も、篠原君は怒るでも止めるでもおなく、その場にいる。
でも、その顔からは、はっきりとした嫌悪と、うっすらとした悲しさが読み取れる。
篠原君・・・
とにかく、この場を収めなきゃ。
私の頭の中には、こればかりだった。
先生が来たら、ここにいる生徒たちも席に着く他ないだろう。
しばらくすれば、ほとぼりも冷めるに違いない。
さっきの女の子が吐き捨てるように教えてくれた。
篠原君に嫌われたことがよっぽど悲しかったのか、目を赤く腫らしている。
えぇ・・・
私が焦りを募らせる間にも、クラスメイト達の言葉は止まらない。
篠原君を見れば、悔しそうに口元を歪めている。
私はもう一度、写真に目を戻した。
さっきはあまりよく見れなかったけれど、美形は相変わらず。
それに加えて、輝くような金髪が揺れていて、むしろ今よりカッコいいくらいだ。
なんでいじめられなくちゃならないの?
私の中には、疑問と共に、はっきりとした怒りが生まれる。
これは、篠原君がどう思っていようと、大切な人生のワンシーンなのだろう。
青春の、、、。
篠原君を語る上で、欠かすことのできない1ページであるに違いない。
それが伝わってくるから、余計に許せない。
でも、同時に気付いてしまった。
なんで、私、自分は関わろうとしなかったの?
そんなの卑怯だよ。
私は逃げているだけだ。
情けない自分への怒りか、はたまた、写真を見て馬鹿にする人たちに対しての怒りなのか・・・
何が私を突き動かしたのかは分からない。
とにかく私は、写真を見せた男の子の襟元をつかんでいたのだ。
人生でこんなにも怒りを覚えたのは初めて。
そう、返事をした男の子は、そろりと写真をしまった。
あ。
やってしまった。
あれ、私いじめられちゃうかな?
なんで、、、視界、歪んでく。
篠原君のその顔は、王子様スマイルなことに違いはなかったけど、その目尻に少しだけ、光るものが見えた。
そっか。
私、篠原君のことが好きだったんだ。
そんな簡単な事実が分からなかったなんて私は大馬鹿だ。
最近、君のことばっかり考えちゃうのも、痺れるような甘い胸の痛みも、全部、全部、恋のせいだったんだね。
こんなに短い期間で、君に惚れちゃうなんて、、、
君はすごいね。
やっぱり、王子様だ。
私が叶うはずのない恋情に思いを馳せていると、思いっきり扉が開いた。
それは、唯ちゃん率いる女子軍団だった。
女子の圧力に、男子たちが気圧されている。
私が男子と女子の戦いにあっけに取られていると、左肩を軽くたたかれた。
篠原君が、少しボリュームを落とした声で言う。
その顔は、少年のように輝いていた。
こんな顔するんだ・・・
私は、無意識のうちに頷いていた。



















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。