第23話

眠りは安心感から
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2025/07/30 00:56 更新
夕暮れ時。古びた神社には6つの影がのびる。
星喰右手
千ト、迎えにきましたよ
恵美まどか
ほら誠一、帰ろ
突如居なくなった千トと誠一を追いかけこの神社に辿り着いた右手とまどかは事務所へ帰ろうとそう声を掛ける。が千トと誠一からの返答はない。
星喰左手
せ〜んと、帰ろうぜ
神柴健三
誠一くん、帰りましょ
同じく千トと誠一を追ってここに辿り着いた左手と健三もそう声を掛ける。が結果は変わらない。2人は俯いたまま4人を直視しようとはしなかった。
星喰右手
しばらくの間、沈黙が続く。

鴉が鳴いた時、千トはゆっくりと口を開いた。
皇千ト
…僕は帰らないよ
ようやく口を開いたと思えば千トの口から出たのは"帰らない"という言葉だった。でもその声はどこか震えていて冷たく、いつもの温かな言葉ではない。
恵美まどか
どうして?
まどかが問う。
が千トは変わらず
皇千ト
僕は帰らないよ
と答えるだけだった。

それに怒りのような、なんとも言えない感情をまどかは感じ始める。
星喰右手
…誠一くんは?
踏分誠一
俺は…
右手に突然振られたからなのか少し目を見開いた後、視線を逸らし気まずそうにする。
星喰右手
どうなんです?
右手は問う。帰りたいのか、そうでないのか。

誠一の返答は
踏分誠一
かえ…り…た…ぃ
"帰りたい"だった。その返答にまどかは少し笑みを浮かべる。まどかは千トにもう一度問いた。本当はどうしたいのかを。とある一言を添えて
恵美まどか
ねぇ、皇千ト。本当はどうしたいの?
皇千ト
だから…僕は…
恵美まどか
『帰りたくない』?嘘つくなよ
皇千ト
僕は嘘なんか…
恵美まどか
なら何で"防犯カメラにわざと映り込んだの?"
皇千ト
ッ…
恵美まどか
本当に帰りたくないというのなら防犯カメラに映らないよう変幻なり使って痕跡を消すはずだ
皇千ト
そっ、それは!たまたまで!
恵美まどか
たまたま?笑わせるなよ
恵美まどか
僕の記憶の中にいる君は防犯カメラを見ていた
恵美まどか
そこにあるか確認するために…ね
恵美まどか
どうだい?皇千ト
まどかは笑ってそう言う。
皇千ト
……
皇千ト
そう…です…流石ですね
千トは俯いた後、少し悲しそうな顔をしながら笑ってまどかの推理を肯定した。
皇千ト
そうです。僕はわざと防犯カメラに映るように走りました。…不思議ですよね、帰ってはいけないのに
神柴健三
帰ってはいけない?
皇千ト
…あの誘拐騒動からこれと言って何か大きなトラブルは無かった
皇千ト
それでも…僕のせいで皆が傷つく事もあった
星喰左手
はぁ?それは千トのせいじゃなくって襲ってくるあいつらのせいじゃねぇか
皇千ト
そうかもね、でも
星喰右手
でも?
皇千ト
僕を狙った犯行が多かった
少し前にあった誘拐騒動。その騒動が収まったかと思えば裏社会を通じ皇千トと踏分誠一は妖怪である。という噂が出回った。それから依頼の先々で野党に襲われることが多々あったのだ。
皇千ト
だから僕は離れることを選んだ
皇千ト
もう傷つけるのも、つけられるのも、うんざりなんだ
だから帰れない。と千トが言おうとした時、誠一が後ろから抱きついてきた。
皇千ト
誠一くん?どうしたの?
踏分誠一
帰りたくないなんて嘘ついたらあかんで
皇千ト
(まだ何も…)僕は…
踏分誠一
泣いとるやん、我慢は良くないで
皇千ト
え?
千トは頬に触れる。どうやらしゃくりを上げることもなく泣いていたようだ。
星喰右手
ふふっ、体は素直なんですね
星喰左手
だな、ほら千ト
皇千ト
なっ、なに左手く…うわっ!
星喰左手
わがまま狐様は持ち帰って説教コースだな?
星喰右手
それで大丈夫です
皇千ト
えっ?えっ!おっ、降ろして!
恵美まどか
お姫様抱っこだって、ふふっ
神柴健三
可愛らしいですね〜
皇千ト
お〜ろ〜し〜て〜!!
星喰左手
降ろしてもいいけど背中からいくぞ?いいのか?
皇千ト
恵美まどか
大人しくなった
星喰右手
さて、千トは強制的に連れ帰るとして…
神柴健三
誠一くんはどうするのですか?
踏分誠一
俺も帰る
恵美まどか
そっ、なら誠一、おんぶ
踏分誠一
しゃーないな、ほら乗り。帰ろ
〈帰路〉
皇千ト
すーすー
星喰右手
…寝てしまいましたね
星喰左手
まぁ疲れてたんだろ
事務所へ帰る道中、千トは今までの鎖を落とすことができたのか安心した顔で眠りに付いていた。それを見て周りは微笑む。
恵美まどか
寝れるのは良いこといいことだよ
踏分誠一
お前はどこでも寝すぎやけどね
神柴健三
いいじゃないですか、寝れる。ということはそこは安心出来る場所なのですから
星喰右手
…そうかもですね
星喰左手
…かもな〜
神柴健三
おや、珍しい。左手さんに関してはそうか?と言うかと思ったのに
星喰左手
そういう気分だっただけだ
恵美まどか
ま、帰ったら説教なんだろ?星喰右手の
星喰左手
兄貴のは長いぞ〜
星喰右手
手短に済ませますよ
星喰左手
(ほんとに良かった)
星喰右手
(ちゃんと帰ってきてくれて)
千トの髪を優しく撫でる。少し千トが微笑んだような気がした。やっぱり説教は取り消してパンケーキでも食べようか。そう双子は思ったとか。

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