気になるんだよなぁ
うん、それ程ヤバかったと。
というか右腕めっちゃ痛いんだけど!?
これ、折れてるんじゃない???
自分でも良く動けるなとは思うけどね。
やっぱり私は何も出来ないんだなぁ。
レミィ姉が刃さんに?
そういう事だったのか。
希、びっくりするだろうけどね。
そこからは刃さんは無言になる。
私も無言だったけど。
そのまま刃さんは何処かへ行ってしまった。
さて、希の所へ行こう。
私が医務室に入ると希は此方を向いて開口一番そう言った。
確かに本当にこの傷で動けるのが謎だよね。
結局は此処まで歩かなきゃだしね。
そのまま私は動こうとする。
そう言って希は無数の魔法陣を展開させ、治癒をかけてくれる。
あ、折れてなかったんだ。ヒビで止まってたんだね。
驚いた様だけれども治癒魔法の手は止めない、器用なものである。
私は先程の出来事を簡単に話した。
能力自体規格外なのを自覚してないのが希である。
流石、希。傷一つ………無いと思う。
それだけでも十分だよ。
スペカの奥義使って動けてる自体が凄いと思う。
私の場合、使うにはちょっとした手順が必要なんだよね。
やっぱり、希凄い(*'▽'*)
そう言って刃さんは入ってくる。
無理しないからだいじょーぶ。
そう言って希は医務室を出て行った。
凄い慎重にしますね、刃さん。
海裏さんまで!?
一体海裏さんは何処へ…………?
私がもっと早く着いていたら…………。
刃さん達が管理してくれるなら安心だね。
そう言って刃さんは部屋から出て行った。
私は大きく息を吸う。
まだ色々と情報を飲み込めていない。
それでも、キチンと把握して、飲み込んで、前に進まなくてはならない。
私は誰も居ない医務室で1人、自嘲気味に呟いた。
勿論、返事が返って来る事など無い。
やっぱり、一人って…………寂しいな。
私はそっと医務室にいくつかあるベッドの内の一つ………私の診察に良く使われるベッドに座る。
そのまま私は自身の首に手をかけた。
でも、すぐに手を引っ込める。
まだ、やるべきことが残っている。
私はそのままベッドから降りると、自室へと戻る為、医務室の扉を開けた。
(希sides)
私はレミリアさんの部屋から出ると一度伸びをした。
まさか、あんなことになっているなんて予想外だった。
確かにこれはリィナに話せない。
私は少し重い足取りでリィナの部屋に向かった。
リィナ、落ち込んでたな………。
つい先程まで私はリィナの自室でリィナと話していた。
もう少し話していようと思ったがリィナの怪我の事も考えた結果、また後で来る約束し、リィナの部屋を後にした。
私がこの後どうしようかと考えながら廊下を歩いていると少し先に刃さんがいた。
刃さん、廊下掃除してるみたい。
あんまり喋った事無いけど、凄い人ってのはリィナに聞いてるんだよね。
私戦闘強く無いですけど………?
そういえばラズも長期任務で居ないんだっけ………凄い嫌そうな顔して任務だって言ってたけど。
ほ、本当に大丈夫かなぁ………確かにリィナに戦わせる訳にはいかないから私が行かなきゃだけど。
今回ばかりは《神威》使わなきゃかなぁ。
そうして刃さんは無言で歩き出した。
私は刃さんに無言で着いて行くのだった。
紅魔館、裏庭にて
今日分の仕事は終わらせてあるからね。
そう言って刃さんは両手に神器と血液の刀を出現させた。
私も昔から使っている短剣を取り出し、構える。
直後、私と刃さんの距離が一瞬で詰められていた。
早い!!
私はそのままバク転して避ける。
刃さんは血液の針を私が避けた先にいくつか配置した。
危ないですね!?
私はそのまま無理矢理身体を捻り、着地場所をずらした。
褒められてるのか分かんないけど!
私はそのまま短剣を投擲する。
刃さんは刀を地面に刺して、二本指で短剣の刃を掴んで止めた。
うん、規格外だね。
しょうがないので私はある技を使う。
炎の鳥が刃さん目掛けて飛んでいく。
しかし、刃さんは先程掴んだ短剣を炎の鳥に向けて投げ、炎の鳥を切り裂いた。
目眩しが彼に効くとは思わないが、目眩しとして私は弾幕を放つ。
直後、刃さんは赤黒い空間に入った。
私は構えたまま、刃さんの位置を把握しようとする。
しかし、刃さんは赤黒い空間を駆使して様々な所から現れては消えたりする。
そのせいで刃さんの位置を特定出来ない。
把握しなければ攻撃すらままならない。
刹那、刃さんは私の真正面に現れて私の頭を掴み、打撃を加えていく。
私は近距離で氷の鳥を放った。
これは流石に避けられない筈。
刃さんは瞬時に血液のバリアを展開した。
そうだよね、避けなくてもバリアとか結界とかがあるもんね、うん。
私は瞬時に刃さんの背後に回ると、炎と氷の蝶を無数に放つ。
そう言って、刃さんはバリアを展開したまま睨みつけてきた。
これも無理、と。
流石にこれ以上はキツい………。
そう言って刃さんは何か気を溜めている。
何か、来る。
私はほんの一瞬、考え込んだ。
何故今、そんなことを聞くのだろう?
殆どの人が答えられるであろうこの問題。
勿論、答えは。
簡単に言ってしまえばこうなる。
直後、刃さんは私との距離を詰めて私を掴むと、水分を蒸発させて全身氷漬けにした。
しまっ…………!!!
そのまま刃さんは掴んだ部分に力を込め、全身をそのままバラバラにさせた。
意識を保てない。
このままじゃ、リィナ、が………!
リィナがガリッと歯噛みをしながら出て来た。
リィナが此方を心配そうに見つめてくる。
本当、心配症だなぁ。
直後、私の意識は本当にぷっつりと途切れた。
自身の口から、掠れた声で親友の名が漏れた。
目の前の状況を把握したくなかった。
だって、親友が味方である筈の人に“殺された”のだから。
何故?
何の為に?
味方である筈の彼が、何故?
同じ様な問いが頭の中をグルグルと目まぐるしく駆け巡る。
ただ、脳裏には希が初めて笑ってくれた日の事がうつし出されていた。
刃さんは真紅の目を輝かせて、そう言った。
私は構えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー決めた。
前から決めていたでしょう?
大切な人達に手を出されれば、その人を“殺す”と。
手加減なんかじゃないんだよ。
そもそも、勝てたのはカイ兄のおかげである。
刹那、私は刃さんの周りのみ空間を歪めた。
しかし刃さんはあえて食らって全身バキバキとなって、血も吹き出している。
刃さん、何考えて……………っ!
刃さんは、大量に吹き出した血液を巨大な槍状にして、全身を治した後思いっきり私に突き刺した。
痛い。
でも、きっと希の受けた痛みはこんなものじゃ、ない。
突き刺さった槍が散って、そのまま大量の針となり次々と突き刺さってくる。
私は刃さんを捕らえようと辺りに鎖を荒れ狂わせる。
刃さんは鎖に当たって更に傷を増やしていく。
負けられない。
だって、親友を殺されたんたんだから。
そう言って刃さんは血液を駆使して私を磔にした。
私は魔法陣を展開して、その場の術を一掃する。
そう言って刃さんは私を再び磔にする。
口の端から血が滴っているのが分かった。
無理してるんだなぁとは分かるけど、もう良いかなとも思ってしまう。
刃さんはその口の端の血も私に突き刺す。
諦めない、諦められない。
刃さんはそう言って、私の血から大量に槍を形成して突き刺し、刃さん自身も私に指を突き刺して血を抜き取った。
やばい、視界がグラグラしてる………。
刃さんは私から血を抜くと、私を投げ飛ばした。
ダメだ、動けない………。
そのまま地面に墜落する、その時だった。
聞き慣れたラズ兄の声が聞こえて、私はそのままラズ兄に受け止められる。
刃さんは赤黒い骨のような翼を大きく広げて咆哮した。
若干嫌そうな顔をしながらラズ兄は言った。
倒さなきゃ………“殺さなきゃ”
希の、仇を取れない。
ラズ兄は真剣な表情で言った。
私は、希の仇を取らなきゃ、いけないのに………!!!
刃さんは血液の針を今まで以上に大量に出した。
ラズ兄はそれを見てため息を吐いた。
私にどう言っても無駄だと思ったんだろう。
何せ、ラズ兄の刀と刃さんの能力は非常に相性が悪い。
えー………自分でも非常にサイコパスな発言をしてるのは分かってるもん!
身体能力強化の術を自身にかけながらラズ兄はそう言った。
直後、血液の槍が二本、ラズ兄と私それぞれに飛んで来た。
私は更に身体能力強化の術をかけ、避ける。
そう言いながらラズ兄は的確に避けていく。
目から高圧の血液のレーザーのようなものを飛ばしてくる刃さん。
目、痛くないのかな!?
私は木々の隙間を使って避ける。
ラズ兄は私と同じく木々の隙間を使って避けている。
確かにああいうやつの軌道を逸らすの、希得意だもんね。
そのレーザーのようなものは木を真っ二つにしてきた。
あんなの当たったら致命傷じゃない!?
私とラズ兄は兎に角避ける。
すると刃さんは二本の刀でラズ兄に斬りかかった。
非常にヤバイ状況!?
何度も言うが、ラズ兄の刀と刃さんの能力は非常に相性が悪い。
ラズ兄もそれは分かってると思うけど………。
ラズ兄は何枚にも重ねた結界を自身の目の前に張った。
刃さんは血液の針を何本も刺して、結界を砕いた。
ラズ兄は刃さんに向けて斬撃を放つ。
近距離がダメなら遠距離で倒す、そう考えたのだろう。
刃さんは直撃するも驚異の再生能力で立ち直し、そのままラズ兄に指を突き刺して血を吸った。
ラズ兄は刃さんを突き飛ばして後退する。
私は慌てて駆け寄ろうとする。
刃さんが片目を紅く光らせると時間が止まった。
私はサラッと動いて、弾幕を放つ。
しかし、刃さんの姿が突然消えたと同時に血液の針で弾幕を相殺される。
私は再び周りの空間を歪め、刃さんを捕らえようとする。
しかし、歪み始める前に空から声がした。
私は慌てて空を見る。
直後、刃さんは空からロードローラーを持って私とラズ兄を押し潰した。
早い…………!
そう言って刃さんはロードローラーを何度も殴って衝撃を加えていく。
…………痛くないんですか?
そっちの心配をしたいです((((;゚Д゚)))))))
刃さんは力を込めた一撃を放って、私達を完全に潰した。
腕痛くないのかな…………(・・;)
このままじゃ、ヤバい事になる………!
待って、お兄ちゃん何処に居たの!?
兎に角身体中が痛いけど。
私はため息を吐いた。
答える気が起きない。
この状況で、わざわざ自身の心の中に渦巻く“ドス黒い思い”を明かす必要はあるのか。
希が、居る……………?
ちゃんと、生きてる………?
む、難しい………。
希は苦笑してる。
本当に難しいんだよ!?
そういう事だったのか。
分かってる、自分でも“落ちてる”のは自覚してる。
分かってる、分かってるんだよ。
そのままお兄ちゃんは飛んでいった。
こんなところで挫けてちゃ、前に進めない。
そうして私と希は医務室へ戻る事とした。
2023 2/23
19時予約投稿














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。