放課後の喧騒から逃げるようにたどり着いた屋上
フェンス越しに見える街の灯りは、
まるで宝石をぶちまけたように騒がしく輝いている
泉は繋いだ手を離さないまま、フェンスに背を預けて荒い息を吐いた
隣りに立つあなたの下の名前は、
繋がれていない方の手でフェンスを掴み、
遠くの空を見つめている
泉の声が、夜の風を混じって低く響く
あなたの下の名前は答えず、
ただ吸い込まれそうな夜の扉を見つめ続けていた
その瞳は、泉がどれだけ強く手首を握っても、
彼の手が届かない場所にいる誰かや、過去の記憶を追っているように見えた
泉はあなたの下の名前の手首を、
さらに強引に引き寄せ、
無理やり自分の方を向かせた
視線がぶつかる
けれど、あなたの下の名前の瞳の奥にある熱は、
依然として泉ではない
『何か』に向けられたままだった












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。