家に帰ると、ドアを開けてすぐに
芳くんが両手を広げて待っていた。
私はたまらず、その胸に飛び込む。
芳くんの体温に包まれて、
自分以外の規則正しい鼓動に耳を傾けると、
ほっとした。
そのせいか、じわりと涙が目に滲む。
なにも聞かずに抱きしめてくれている
芳くんに、私はぽつりと家族と生きる道を
選ばなかったことを報告する。
それを聞いた芳くんは、
私を抱きしめる腕に力を込めた。
くすくすと笑う芳くんを
私は首を傾げながら見上げる。
それと同時に大きな手に両頬を包み込まれ、
芳くんの顔が近づいた。
友人の好き、家族の好きとは違う。
もっと特別で、世界でたったひとりに
抱く感情のことを芳くんは言っているんだ。
いつの間にか、私の隣に芳くんがいる
ことが当たり前になってた。
それはきっと、私が芳くんの存在を
自分の一部みたいに思っていたからかも。
芳くんへの想いを整理していくと、
最後にはシンプルで強い感情だけが胸に残る。
今まで、ずっと気づかなかったけど……。
自分で言っていて恥ずかしくなった私は、
芳くんの胸に顔を埋める。
すると、頭の上に芳くんのため息が降ってきた。
急に身体が浮遊感に包まれて、
私は芳くんに抱き上げられる。
その先にあったのは、私のベッドだった。
混乱している間にも、
私は洗いたてのシーツの上に優しく下される。
そのまま、後ろから抱きしめられるような形で
芳くんとベッドに沈んだ。
そう言って頭を撫でてくる芳くんに
始めはドキドキしていた私だけれど、
髪に触れる優しい手に次第に眠気が襲ってくる。
おやすみ……芳くん……。
微睡みの中で返事をすると、
私は芳くんの温もりに守られながら
夢の世界へと旅立っていった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。