第23話

第3章 第7話 孤独の臨界
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2026/07/27 12:29 更新
北の街道
夕焼けはすでに濃くなり、空は赤から暗い紫へと変わり始めていた


その中で――


巨大モンスターは、まだ動いている
完全には止まっていない


水の触手が絡みつく
締め上げる
押さえつける
だが
決定打にはなっていない


コンタミは、その場に立ち続ける
両手を前に出したまま
全神経を集中している
呼吸は荒い
肩が上下する
手は震えている


それでも――力を緩めない
らっだぁ
コンちゃん!下がれ!!

らっだぁの声が響く
強く
はっきりと


だが
届かない。


コンタミの耳には、その声が遠く感じられた
まるで水の中にいるように
ぼやけて、歪んで聞こえる


視界が揺れる
輪郭がにじむ
足元が不安定になる


それでも能力は止まらない
水の触手は、なおもモンスターを締め付けている


しかし――


コンタミの意識は
戦場から、少しずつ離れていった
ふと
違和感が走る
コンタミ
……?

景色が、変わっている
さっきまで確かに戦っていたはずなのに
音が消えている
モンスターの咆哮も
水の音も
何もない
静かすぎる


ここは――どこだ?


コンタミは周りを見る
そこにいた

らっだぁ

みどり

金豚きょー

レウクラウド


全員いる


なのに――


おかしい


距離がある
誰も近づいてこない
一定の距離を保ったまま、立っている
まるで
見えない線を引かれているように

コンタミは一歩踏み出す
コンタミ
……どうしたの?

声をかける


返事はない


数秒の沈黙
やがて
らっだぁが口を開く
その声は、いつもより低かった
らっだぁ
やっぱり危ないな

コンタミの動きが止まる
みどり
力、強い
金豚きょー
暴れたら止められねえ
レウクラウド
…怖い

その一言が
深く突き刺さる
コンタミ
違う

コンタミの声が揺れる
一歩、近づこうとする
コンタミ
俺は……

言葉が続かない


仲間が、一歩下がる


距離が広がる


目に見える形で
拒絶される

その時
別の声が重なる


知らない声じゃない
忘れたことのない声


村の人たち
村人
すごい力だ
村人
でも……怖いな
村人
もし人に向いたら
村人
離れた方がいい

声が増える

重なる

響く


現在と過去が、混ざる


仲間の姿と
村人の記憶が
重なって見える
らっだぁ
近づくな
みどり
危ない
金豚きょー
お前の力は危険だ
レウクラウド
……もう無理だよ

コンタミの胸が締め付けられる
コンタミ
……違う

声が小さい
弱い
コンタミ
俺は……守るために…………

届かない
誰も聞いていない

仲間たちが背を向ける


そして
歩き出す
離れていく
止められない
コンタミ
待って

声が震える
コンタミ
俺は…

言葉が出ない


また一人
同じだ
あの時と


結局
強い力は
人を遠ざける

遠くで声がする
らっだぁ
コンちゃん!

だが
もう届かない
コンタミの世界には
誰もいない

その瞬間
何かが、切れた
音もなく
静かに
確実に

コンタミの目が変わる
焦点が消える
感情が歪む


悲しみ

孤独

絶望


そして
別の感情が浮かぶ


――殺してしまえばいい
現実


水が、爆発するように膨れ上がる


ゴォォォォォッ!!


これまでとは比べ物にならない量


触手が増える
さらに増える

十本

十五本

数えきれない


モンスターだけじゃない
地面をえぐる
木々をなぎ倒す
空間そのものを押し潰すような圧


らっだぁが叫ぶ
らっだぁ
まずい!

これは戦闘じゃない
制御がない


完全な暴走

コンタミは立っている
その中心で


表情はない
怒りもない


ただ
静かに
コンタミ
全部消せばいい

水がさらに暴れる


敵も
地形も
何もかも巻き込む勢い


もう
止まらない


コンタミは完全に
自分の内側に閉じていた
ストレス値

らっだぁ:50
みどり:48
金豚きょー:52
レウクラウド:60
コンタミ:100

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