夕方
空は、燃えるような赤に染まっていた
雲の端まで赤い
まるで――何かの前触れのように
基地の中も、どこか落ち着かない空気だった
誰も口には出さない
だが全員が感じていた
「今日は、嫌な予感がする」
――その瞬間
ビーッ
ビーッ
ビーッ
警報が鳴り響く
これまでよりも強く
鋭く
不快なほどに
オペレーターが叫ぶ
その一言で、空気が凍る
らっだぁが即座に反応する
金豚きょーが低く呟く
疲労が抜けきっていない中での連戦
だが、行くしかない
みどりは何も言わず、武器を握る
レウクラウドは回復道具を確認
手は止まらない
だが、わずかに震えている
そして――
コンタミ
彼は静かに立ち上がる
表情は変わらない
だが、その内側
すでに限界に近かった
それでも
口にする言葉は同じ
現場は森と街の境界
街道が真っ直ぐ伸びている
そのすぐ先に――街
つまり
ここを突破されれば終わり
そこに“それ”はいた
巨大な影
岩のような外殻
重厚で、無機質
生物というより“要塞”
赤く光る目
こちらを認識している
明らかに、これまでとは格が違う
らっだぁが前へ出る
短く、強い言葉
全員が理解する
ここが防衛線
一歩も引けない
モンスターが動く
ドンッ!!
一歩で地面が沈む
突進
速い
巨体とは思えない速度
らっだぁが正面から迎え撃つ
鬼化
身体が膨張する
拳を振り抜く
ドゴォッ!!
直撃
――だが
衝撃が通らない
外殻が異常に硬い
金豚きょーが上空から叫ぶ
闇が収束する
巨大な刃
振り下ろす
ズバァッ!!
傷は入る
だが――浅い
致命には遠い
みどりがサポートしながら背後に接近
死角
完璧な位置
短剣が突き刺さる
だが
弾かれる
モンスターは止まらない
そのまま前進
狙いは――街
その瞬間
コンタミが動く
一歩、前へ
そして――
街とモンスターの“間”に立つ
たった一人で
らっだぁが呼ぶ
コンタミは振り向かない
ただ前を見る
その声は、静かだった
だが揺るがない
両手を広げる
ゴォォォォォッ!!
地面が震える
水路が逆流する
地下水が引きずり出される
見えない水すらも、強引に
現れる
巨大な水の壁
街を覆うように展開
そして
一気に前へ押し出す
ドォン!!
モンスターに直撃
衝撃で動きが止まる
さらに
水が形を変える
触手
一本
三本
五本
一斉に巻き付く
締める
止める
進ませない
モンスターが咆哮する
腕を振るう
ドンッ!!
触手が弾け飛ぶ
だが――
コンタミは止めない
さらに水を引き出す
量が増える
三本
五本
八本
十本
水が暴れている
制御しているのではない
“押さえつけている”状態
レウクラウドが気づく
顔色が悪い
呼吸が荒い
明らかに限界を超えている
金豚きょーが叫ぶ
だが
コンタミは答える
その声は震えていた
頭の中に浮かぶ
過去
村
視線
距離
言葉
“強すぎる”
“怖い”
“離れる”
そして今
もし止められなかったら
街が壊れる
人が傷つく
仲間が巻き込まれる
だから
止まれない
水が膨れ上がる
触手が巨大化する
質量が増す
圧力が跳ね上がる
ギシギシギシ……
外殻に亀裂
確実に効いている
だが同時に
コンタミの体が揺れる
手が震える
視界が歪む
呼吸が乱れる
制御が崩れ始める
だが
届かない
コンタミの世界は今、“守る”だけで埋まっている
他の音が入らない
水がさらに暴れる
地面がえぐれる
周囲の構造物が軋む
このままでは――
敵だけでは済まない
モンスターはまだ動いている
完全には止まっていない
だが
それ以上に危険なのは――
コンタミ自身だった
限界
精神
身体
能力
すべてが
崩れかけている
それでも
彼は止まらない
かすれた声
それが最後の意志のように
夕焼けの中
水が暴れ狂う
その中心で
コンタミは、限界の一歩手前に立っていた
ストレス値
らっだぁ:42
みどり:40
金豚きょー:46
レウクラウド:55
コンタミ:90












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。