朝
基地の空気はまだ重かった
前日の戦闘の疲れが残っている
誰もが完全には回復していない
それでも――
日常は続くはずだった
ビーッ
ビーッ
ビーッ
警報が鳴り響く
鋭く、容赦なく
一瞬で全員の意識が切り替わる
オペレーターの声が飛ぶ
らっだぁが即座に立ち上がる
金豚きょーが舌打ちする
みどりの目が細くなる
レウクラウドはすでに準備を終えている
手際が早い
だがその動きには、わずかな疲労が見える
コンタミは――
静かに立ち上がる
表情は変わらない
だが、その奥は揺れていた
現場は、街のすぐ外だった
建物の列がすぐ背後にある
避難は完了している
だが時間の問題だった
――遅れれば壊れる
目の前にいるのは
巨大なモンスター
黒い外殻
異様な硬質感
太い腕
一振りで建物を破壊できる質量
その周囲を、小型モンスターが取り囲む
らっだぁが前に出る
全員が頷く
――戦闘開始
らっだぁが地面を蹴る
一瞬で間合いを詰める。
鬼化
筋肉が膨張し、速度が跳ね上がる
拳が唸る
ドゴッ!!
一体、吹き飛ぶ
間髪入れず次
迷いがない
みどりはサポートしながら消える
完全な気配遮断
次の瞬間、小型の背後
短剣が正確に急所へ入る
音すらほとんどない
確実に仕留める
金豚きょーは空中へ
黒翼が広がる
闇が収束する
刃となり、降り注ぐ
ズバババッ!!
複数を同時に切り裂く
レウクラウドは後方
視線は絶えず動く
小型がらっだぁを襲う
的確な支援
ダメージの兆候を見逃さない
完璧なチームだった
小型は、瞬く間に数を減らしていく
――だが
大型が動く
ドンッ
地面が沈む
巨大な腕が振り上がる
狙いは――
街
建物の列
金豚きょーが叫ぶ
間に合わない
この一撃で、確実に壊れる
その瞬間
コンタミが前へ出る
一歩
迷いはない
だが――覚悟があった
誰かが止める前に
彼は手を広げる
ゴォォォォォッ!!
水が、暴れる
地面の水分
見えない水分すら引きずり出す
近くの水路が逆流する
空へと持ち上がる
量が、異常だった
一瞬で形成される
巨大な水の触手
一本
二本
三本
四本
大型モンスターへ巻き付く
締める
逃がさない
だが――
止まらない
五本
六本
七本
さらに増える
水の量が限界を超えている
レウクラウドが息を呑む
明らかに、おかしい
モンスターはすでに動きを止めている
完全に拘束されている
――それでも
締める
さらに
さらに
ギシギシギシ……
外殻が割れる
内側から砕ける音
地面が削れる
水圧が強すぎる
破壊が止まらない
らっだぁが叫ぶ
反応がない
コンタミの目は揺れていた
焦点が合っていない
呼吸が荒い
金豚きょーも叫ぶ
みどりも声を上げる
確かに
モンスターはすでに“終わっている”
だが
コンタミだけが止まらない
レウクラウドが震える声で言う
昨日の不安
過去の記憶
そして今の戦闘
全部が重なっている
でも、どうやって?
らっだぁが前へ出る
危険でも関係ない
距離を詰める
強く
はっきりと
名前を呼ぶ
それは命令じゃない
叱責でもない
――呼びかけだった
その声が
届く
コンタミの指が止まる
水の動きが一瞬止まる
時間が止まったような静寂
数秒
そして
崩れる
水の触手が一斉に落ちる
ドォン!!
モンスターの残骸が地面に沈む
完全に沈黙
戦闘は終わった
コンタミはその場に立ったまま
肩で息をしている
呼吸が乱れている
手が震えている
止められた
でも――
ギリギリだった
かすれた声
らっだぁは即答する
優しい言葉
全部、本音
でも
コンタミの中には届ききらない
さっきの感覚
止まらなかった力
あのまま続けていたら
モンスターだけじゃない
地面も
建物も
全部巻き込んでいた
その考えが離れない
コンタミは自分の手を見る
まだ、震えている
水を操るはずの手
なのに
制御しきれなかった
心の奥で
確信に近いものが生まれる
誰にも聞こえない声
風が吹く
街は無事
それだけが救いだった
ストレス値
らっだぁ:36
みどり:35
金豚きょー:40
レウクラウド:48
コンタミ:78












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。