北の街道
世界はまだ荒れていた
水の嵐
巨大な触手
空を覆う無数の水流
それらが、暴れ続けている
木々は根こそぎ倒れ、岩は砕け、
地面は深く抉られている
まるで自然災害
――違う
すべては一人の力
コンタミ
らっだぁはその中心を見据える
迷いはなかった
鬼化をさらに強める
筋肉が軋む
地面がわずかに沈む
目が鋭く光る
覚悟の色
短い言葉
だが、それで十分だった
金豚きょーが叫ぶ
その声には、焦りが混じっている
みどりは何も言わない
ただ、らっだぁの動きを見ている
止められないと理解しているから
レウクラウドは息を呑む
誰にも聞こえない声
その瞬間
らっだぁは地面を蹴った
ドンッ!!
一気に加速
空気を切り裂く
一直線に
コンタミへ
水の触手が反応する
侵入者を排除するように
巨大な水流が襲いかかる
ドォォン!!
地面が砕ける
衝撃が広がる
しかし――
らっだぁは止まらない
跳ぶ
避ける
着地と同時に、さらに加速
一歩も引かない
ただ前へ
その頃。
コンタミの世界は、まだ歪んでいた
静かな空間
仲間はいる
だが――遠い
誰も近づかない
誰も声をかけない
背を向けて
歩いていく
離れていく
コンタミの声は、かすれていた
胸が締め付けられる
水がそれに呼応するように荒れる
孤独が、そのまま力になる
その時
違う音が混ざる
足音
ゆっくりと
確実に
こちらへ近づいてくる音
コンタミは振り向く
そこにいたのは――
らっだぁ
現実のらっだぁは、嵐の中にいた
触手が暴れている
水が荒れている
普通なら近づけない
それでも
彼は立っている
コンタミの目の前に
その声は、はっきり届いた
声は弱い
だが、本音だった
しかし
らっだぁは動かない
一歩も引かない
即答
迷いなし
コンタミの目が揺れる
理解できない
どうして来るのか
どうして離れないのか
その問いに
らっだぁは答える
それだけ
それ以上の理由はない
その言葉が
コンタミの世界に、ひびを入れる
その時
別の声が届く
上空
黒翼が広がる
さらに
優しい声
震えている
そして
短い
だが、揺るがない
その一言が、強く響く
コンタミの視界が揺れる
幻覚の仲間
背を向ける
離れていく
現実の仲間
近づいてくる
手を伸ばす
どちらが本当なのか
分からなくなる
いや
分かっている
かすれた声
それだけ
シンプルで
絶対に揺れない理由
その瞬間
コンタミの中で、張り詰めていたものが崩れる
涙が落ちる
一滴
また一滴
止まらない
声が震える
正直な言葉
水の触手が揺れる
力が抜けていく
らっだぁは即座に言う
強く
はっきりと
少しだけ笑う
その言葉に
恐怖はなかった
ただの事実として
受け止めている
その瞬間
水が止まる
触手が崩れる
巨大な渦が消える
嵐が、終わる
静寂が戻る
コンタミは力を失う
膝が崩れる
その場に倒れ込む
小さな声
水はすべて地面へ落ちる
静かに
優しく
すぐに
レウクラウドが駆け寄る
回復の光
優しく包む
金豚きょーも降りてくる
ぶっきらぼうだが
本気で心配している声
みどりも隣に立つ
それだけ
だが、十分だった
コンタミは顔を上げる
仲間を見る
誰も離れていない
誰も怖がっていない
そこにいる
ちゃんと
近くに
コンタミは、少しだけ笑った
涙を流しながら
その言葉は
本当の意味での“戻った証”だった
ストレス値
らっだぁ:52
みどり:48
金豚きょー:50
レウクラウド:60
コンタミ:75












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。