第25話

第3章 第9話 離れない距離
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2026/08/13 08:47 更新
北の街道
世界はまだ荒れていた


水の嵐
巨大な触手
空を覆う無数の水流
それらが、暴れ続けている
木々は根こそぎ倒れ、岩は砕け、
地面は深く抉られている
まるで自然災害


――違う


すべては一人の力
コンタミ

らっだぁはその中心を見据える
迷いはなかった
鬼化をさらに強める
筋肉が軋む
地面がわずかに沈む
目が鋭く光る
覚悟の色
らっだぁ
行くぞ

短い言葉
だが、それで十分だった


金豚きょーが叫ぶ
金豚きょー
気をつけろ!

その声には、焦りが混じっている


みどりは何も言わない
ただ、らっだぁの動きを見ている
止められないと理解しているから


レウクラウドは息を呑む
レウクラウド
……お願い

誰にも聞こえない声


その瞬間
らっだぁは地面を蹴った


ドンッ!!


一気に加速
空気を切り裂く
一直線に
コンタミへ

水の触手が反応する
侵入者を排除するように
巨大な水流が襲いかかる


ドォォン!!


地面が砕ける
衝撃が広がる


しかし――


らっだぁは止まらない

跳ぶ

避ける

着地と同時に、さらに加速
一歩も引かない
ただ前へ
その頃。

コンタミの世界は、まだ歪んでいた
静かな空間
仲間はいる


だが――遠い


誰も近づかない
誰も声をかけない
背を向けて
歩いていく
離れていく
コンタミ
……やっぱり

コンタミの声は、かすれていた
コンタミ
離れていく

胸が締め付けられる
水がそれに呼応するように荒れる
孤独が、そのまま力になる

その時
違う音が混ざる
足音
ゆっくりと
確実に
こちらへ近づいてくる音
コンタミは振り向く


そこにいたのは――


らっだぁ

現実のらっだぁは、嵐の中にいた
触手が暴れている
水が荒れている
普通なら近づけない
それでも
彼は立っている
コンタミの目の前に
らっだぁ
コンちゃん

その声は、はっきり届いた
コンタミ
……危ない
コンタミ
離れて

声は弱い
だが、本音だった


しかし
らっだぁは動かない
一歩も引かない
らっだぁ
嫌だ

即答
迷いなし

コンタミの目が揺れる
理解できない
どうして来るのか
どうして離れないのか
コンタミ
どうして……

その問いに
らっだぁは答える
らっだぁ
お前が仲間だから

それだけ

それ以上の理由はない
その言葉が
コンタミの世界に、ひびを入れる

その時
別の声が届く
金豚きょー
コンちゃん!

上空
黒翼が広がる
金豚きょー
戻ってこい!
金豚きょー
勝手に一人で終わろうとすんな!

さらに
レウクラウド
……コンちゃん

優しい声
震えている
レウクラウド
コンちゃんは一人じゃない
レウクラウド
一人で全部抱えなくていいよ

そして
みどり
……離れない


短い
だが、揺るがない
みどり
絶対に

その一言が、強く響く

コンタミの視界が揺れる


幻覚の仲間
背を向ける
離れていく


現実の仲間
近づいてくる
手を伸ばす


どちらが本当なのか
分からなくなる
いや
分かっている
コンタミ
……どうして

かすれた声
らっだぁ
仲間だから

それだけ
シンプルで
絶対に揺れない理由


その瞬間
コンタミの中で、張り詰めていたものが崩れる

涙が落ちる
一滴
また一滴
止まらない
コンタミ
俺は……

声が震える
コンタミ
怖かった

正直な言葉
コンタミ
また……離れていくってね

水の触手が揺れる
力が抜けていく

らっだぁは即座に言う
らっだぁ
離れねぇよ

強く
はっきりと
らっだぁ
お前が暴れてもな

少しだけ笑う
らっだぁ
止めに来るだけだ

その言葉に
恐怖はなかった
ただの事実として
受け止めている

その瞬間
水が止まる
触手が崩れる
巨大な渦が消える
嵐が、終わる
静寂が戻る

コンタミは力を失う
膝が崩れる
その場に倒れ込む
コンタミ
……ごめん

小さな声


水はすべて地面へ落ちる
静かに
優しく

すぐに
レウクラウドが駆け寄る
レウクラウド
大丈夫

回復の光
優しく包む


金豚きょーも降りてくる
金豚きょー
無茶しやがって
金豚きょー
心配かけんなや

ぶっきらぼうだが
本気で心配している声


みどりも隣に立つ
みどり
戻った

それだけ
だが、十分だった

コンタミは顔を上げる
仲間を見る
誰も離れていない
誰も怖がっていない
そこにいる
ちゃんと
近くに

コンタミは、少しだけ笑った
涙を流しながら
コンタミ
……ありがとう

その言葉は
本当の意味での“戻った証”だった
ストレス値

らっだぁ:52
みどり:48
金豚きょー:50
レウクラウド:60
コンタミ:75

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