昼過ぎ
穏やかだった空気が、突然切り裂かれる
ビーッ
ビーッ
ビーッ
警報
鋭い音が街全体に響き渡る
さっきまでの笑い声が止まる
市場のざわめきが一瞬で変わる
人々が動き出す
慌ただしく
不安を抱えながら
日常が崩れる音だった
らっだぁが一瞬で表情を切り替える
さっきまでの軽さは消えていた
短い指示
全員が頷く
迷いはない
五人はすぐに街の外へ駆け出した
街の外
土埃が舞う
すでに戦闘は始まっていた
他の殲滅部隊が応戦している
モンスターは数体
だが――
問題は別にあった
地面に倒れている人影
一人ではない
二人、三人……それ以上
血の匂い
苦しそうな声
想像より多い
戦闘が長引いていた証拠だった
レウクラウドは一瞬で状況を理解する
そして迷わない
すぐに駆け出す
戦場の中心ではなく、倒れている人の方へ
らっだぁが鬼化
地面を蹴る
一直線にモンスターへ
金豚きょーは空へ
黒翼を広げる
闇刃が落ちる
みどりは姿を消す
影のように背後へ回る
コンタミは手をかざす
水が動く
モンスターの動きを拘束
完璧な連携
戦闘は、確実に終わりへ向かっていた
しかしーー
レウクラウドだけは違った
戦っていない
ずっと治療をしている
柔らかな光
淡く、優しい光が広がる
傷がゆっくり閉じていく
血が止まる
呼吸が整う
倒れていた隊員が息をつく
レウクラウドは微笑む
しかし
次の怪我人
また次
また次
怪我人は多かった
他のヒーラーもいるが足りていない
レウクラウドは休まず魔法を使い続ける
光
また光
また光
戦闘が終わった頃
モンスターは全て倒されていた
しかし
レウクラウドはまだ治療している
額に汗
呼吸が少し荒い
らっだぁが言う
しかしレウクラウドは首を振る
金豚きょーも言う
それでも言う
倒れている人を見る
また魔法を使う
コンタミが静かに言う
レウクラウドは笑う
でも
その笑顔は少しだけ疲れていた
怪我人は全員治療された
街に戻る頃には夕方になっていた
みどりも心配そう
コンタミも静かに見ている
それは本心だった
でも
その裏で――
心の疲れがほんの少しだけ溜まり始めていた
ストレス値
らっだぁ:28
みどり:26
金豚きょー:32
レウクラウド:42
コンタミ:33












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。