第12話

11話
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2024/06/28 09:37 更新



ゆさり、ゆさり……



歩く音と布が擦れる音が聞こえる
……僕はちゃんとビルから飛び降りた筈だ
なのに音が聞こえる、ということは……
あなた
………………
薄らと目が開いた
もう沈む太陽がまだ光を発していて眩しい
そしてその光を反射して銀色の何かが眩しい
眩しさを堪えて目の前の状況を観察する
僕の眼前に広がるのはまず銀色の髪だった
その他には背広な黒い布に銀色の髪の隙間から
少し緑色の布が見え隠れしていた
どうやら僕は誰かにおぶられていると考えるのが妥当だろう

まぁその誰かは少しどうでも良い
今の重大な問題は……
「また自殺に失敗した」
という問題だ
これ程までに自殺とは難しいものなのか
矢張り、自殺未遂に失敗する方が……
と考えていると僕をおぶっている人が歩みを止めた
???
……起きたのか?
その人は首を少し横に捻り此方の様子を伺ってきた
あなた
……はい、お陰様で永眠する事が叶いませんでした(*^^*)
???
永眠?
あなた
分かりませんか?自殺ですよ
???
…………
そう云うとその人は黙り込む
すると暫くして声を発する
???
……何故、自殺をしたいと思ったのか
聞いても良いか?
あなた
何故?逆に此方が聞きたいよ
生きるという行為に何か価値があると
本気で思っているの?
???
私はあると思っている
その人は即答した
あなた
……へぇ…………
じゃあ一体何故生きる価値があると思う?
???
平和だ
あなた
平和?こんな街の?
この街は魔都と呼ばれるヨコハマ
そんな街の平和だなんて何年かけたって叶うものなのだろうか
???
違う、人々の心の平和だ
???
人々の心の平和は街の平和となっていく
???
それ故に私は平和の為、生きるのだ
あなた
……人の心だなんて時の流れと共に
すぐに移り代わっていくじゃないか
人の心は常に新しいものと塗り替えられる
純粋な白い心は特に簡単にどんな色にでも塗り替えられる
誰かに塗り替えられた時、元々あった色には戻れないだろうに
???
その心の平和は何時までも残る
あなた
……本当かなぁ
この人は塗り替えられてもその色は残るというのか
何故そう思うのだろう
僕は少し頭を捻る
???
…………疑問に思うのならば
少しその人は無言になった後、云った






???
私の社で働いてみないか?




そんな一言に僕は内心少し驚く
あなた
……社?会社でも経営してるの?
???
ああ、とても賑やかな会社だ
その疑念もそこなら無くなるかもしれない
あなた
……へぇ〜……
その何気ない一言は嘘偽りない様に聞こえる
あなた
……っしょ
僕はその人の背から降りて云う






あなた
じゃあ、とりあえず社内見学でもしようかな
あなた
僕は清原 あなたの名前、よろしく
福沢 諭吉
私は福沢 諭吉だ
僕は福沢と名乗る人と握手を交わした



𝐍𝐞𝐱𝐭 𝐒𝐭𝐨𝐫𝐲 ⬇

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