智洋くんに送ってもらってふわふわな気持ちのまま家に入った。
…これは夢じゃないよね?
プレゼント、喜んでくれてたよね?
ヤバい、口元が緩んでる。
ちょっと気合いを入れ直して靴を脱いだ。
リビングにはお兄ちゃんがそわそわしながら動いてた。
…挙動不審。
頭をポリポリかきながらお兄ちゃんはスマホを見せてきた。
濵ちゃんからのLINE。
智洋くんとぜんざい食べてるとこ。
…余計なことしてくれる。
小さくため息をついてソファーに座った。
お兄ちゃんも付いてきてなぜかなんでか床に正座。
…もう埒が明かない。
なんだかんだ心配してくれるお兄ちゃん。
私にとってはお父さんと変わらないもんね。
お兄ちゃんが就職するまでは小瀧家で暮らしてた。
就職してからは、お兄ちゃんが私を育ててくれた。
自分の時間を犠牲にして、私のために頑張ってくれた。
お兄ちゃんにも幸せになってほしいんだけどな。
お兄ちゃんに彼女ができたら、私もヤキモチやくのかな?
…ないな、きっと。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!