第30話

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2024/06/07 09:00
-神山side-
俺の誕生日から呼び方はあなたちゃんと智洋くんになった。

お互い呼ぶのも慣れてきたところ。

毎日、朝も帰りも一緒。

昼もみんなとやけど一緒。

お弁当の見せ合いも。

でもそれだけなんよなぁ…

進展してへん。

梅雨明けして本格的な夏がきた。

期末テストも終わった。

気付けば明日から夏休み。

自分の席でうだうだしてると、やっぱり集まる3人。
ふじい
悩んどるな、若者。
かみやま
もうええって、それ。
こたき
なぁ、神ちゃん。
かみやま
何?
こたき
あなたの誕生日、知っとるやろ?
かみやま
8/1やろ?
こたき
そやで?ちゃんと考えとるん?
かみやま
考えとるよ?…でも決めきれんねん。
こたき
何で?
かみやま
…予想外のこと言うたりやったりすんねん。
こたき
…例えば?
かみやま
自販機でお茶買ったらな、次は私が出すって言うたり…
こたき
あー…あとは?
かみやま
弁当褒めたらな、これは冷食やからメーカーさんがすごいんよって言うたり…
しげおか
おもろっ!
こたき
まだある?
かみやま
バスで席代わろうとしたら今日は俺が座る日やって断られたり、それから…
ふじい
まだあるんか!
かみやま
…言い出したらキリがないやらやめとく。
こたき
昔からそうやねん。発想が人とズレてたり、ぶっ飛んでたり…
のんちゃんは俺の顔を覗き込んでニコッとした。
こたき
でもな、その根底にはあなたの優しさがあると思うで?
かみやま
…優しさ?
こたき
弁当は照れ隠しやと思うけど、お茶もバスも神ちゃんばっかりに負担かけたないからやない?
かみやま
負担?
こたき
いつも買ってもらったら悪いなとか、今日は疲れてそうやなとか。
…そう言われたらそうやな。
こたき
それにな、人の顔色ばっか伺って生きてきたやつや。そうゆうの敏感やから。
かみやま
敏感…か。
こたき
今もな、神ちゃんがなんで元気ないんやろうとか、悩んどるんかなとか、気にしてると思うで?
かみやま
えっ?
思わず渡辺さんのところにいるあなたちゃんの方を見た。

一瞬目が合ったけどすぐそらされた。

…俺のこと見てた?
かみやま
…さすがお兄ちゃん。
こたき
は?
かみやま
あなたちゃんが言うてた。のんちゃんはもう1人のお兄ちゃんやって。
こたき
…ま、そやな。俺にとっても手のかかる妹やな。
俺の背中を軽く叩いて席に戻って行った。


あなたちゃんの言葉の意味の裏、ちゃんと読み取れるようになりたい。

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