第19話

第十八話と第十九話
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2026/07/10 11:10 更新
(なぎさから彩乃の決定的な動画を売られた翌日、私たちは次のターゲットとして彩乃を呼び出した。彩乃は腕を組み、いかにも不機嫌そうに舌打ちをする)









第十八話 居場所プライドが奪われるのが怖くて
増田彩乃
なによ、わたしに何か用? あなたの下の名前みたいな追加メンバーのせいで、ただでさえイライラしてんの。
私たちの完璧なビジュアルラインを汚すお荷物は、早く消えてくれない?
あなた
お荷物はどっちかな。あやのちゃん、これ、見覚えあるよね?
私はスマホの画面を彩乃の目の前に突きつけた。そこには、彩乃がきゅーすとの衣装の予備や、あなたの下の名前が初期の頃に大切にしていたダンスの練習ノートを、ハサミでズタズタに切り裂いてゴミ箱に捨てていた瞬間の映像が鮮明に映し出されていた
増田彩乃
っ、なんで…それを、
川本笑瑠
あはは、すごい顔。あなたの下の名前への嫉妬が抑えきれなくて、裏でそんな陰湿なことしてたんだ。衣装を器物破損してたなんて、事務所や警察が知ったらどうなるかな?
増田彩乃
や、やめて……! 頼むからそれだけはバラさないで……っ! 
増田彩乃
私、ずっときゅーすとを引っ張ってきたの……! なのに、下手くそだった追加メンバーのあなたの下の名前がどんどん上手くなって、
一番人気になって……っ。私の居場所が奪われるのが、悔しくて、怖くて、おかしくなりそうだったの……っ!
あなた
自業自得だよ。この映像をSNSに流されて、一瞬でアイドル人生を終わらせたくなかったら、あんたもウチらの言う通りにしなよ
増田彩乃
な、なんでもする!何でもするから、お願いしますっ
あなた
じゃあ、あんたが知ってる次のターゲット……可奈の『一番痛い弱み』を全部ウチらに話しなさい。あのクールぶってる子が、裏で何を隠してるのかをね
増田彩乃
可奈、は……っ……がくがくと震えながらあの子、実はなぎさやあなたの下の名前への劣等感がすごくて……私に『あいつらのファンコミュニティを荒らすためのアカウント』を作ってくれって頼んできたの……。その時のLINEのやり取り、私のスマホに全部残ってるから、あなたの下の名前ちゃんにあげる……っ! だから私のことは助けて……っ!
川本笑瑠
ありがとう、あやのちゃん。さすが、話が早くて助かるよ。……これで四人目のターゲット板倉可奈の『処刑台』も完成だね、
あなたの下の名前
あなた
うん。じゃあ、次からは楽屋の動きをしっかり監視しといてね、あやの
こうして、いじめグループのメンバーたちは、自分の保身のために次の仲間をあっさりと生贄に捧げていくのだった
いつもならここで終わりますが、文章が少ないので、第十九話もいっしょにいきます!
(彩乃から売られた「可奈がファンコミュニティを荒らす指示を出した」というLINEの画面を持って、私たちは可奈を呼び出した。可奈はいつも通りクールな表情を保とうとしているけれど、その声は細く震えている)










板倉可奈
あの、私に何か用、かな……? あなたの下の名前、えみる。……私、次のレッスンがあるから、できれば、早く終わらせてほしいんだけど……っ
あなた
クールぶって距離を置くのは、もう終わりだよ。可奈ちゃん、これ、見覚えあるよね?
あなたの下の名前がスマホの画面を突きつける。そこには、彩乃と可奈のLINEのやり取りが映し出されていた。しかし、可奈はその画面を見た瞬間、目を見開いて激しく首を横に振った
板倉可奈
え……っ!? なにこれ、私、こんなLINE送ってない! 彩乃にファンコミュニティを荒らしてなんて頼んでないよ! 嘘、嘘だよ……っ!
川本笑瑠
言い訳はいいよ。彩乃が『可奈に頼まれた』って全部白状したんだから
板倉可奈
彩乃が……!? なんで……っ。私、本当に何もしてない! 確かに、二人がハブられてる時に怖くて助けられなかった。里紗たちに合わせないと、私が次のターゲットにされてハブられると思って、ネガティブになって躊躇してた……。でも、二人を陥れるようなこと、私は本当になんにもしてないよ……っ!
板倉可奈
動けなくて、本当にごめんなさい…っ!
あなた
……知ってるよ(フッと冷たく笑う)
板倉可奈
え?知ってるって…?
川本笑瑠
うん。なぎさちゃんからも聞いてたし、可奈ちゃんがそんな陰湿なことする人じゃないって、えみたち最初から全部分かってたよ。
なぎさ編の後日談
真鍋凪咲
あの、一つだけいい?
川本笑瑠
どうしたの?
真鍋凪咲
可奈だけはなにもしてない、つぎあやの、のとこにいくなら、可奈の嘘の情報をいうかもしれないから気をつけて。
あなた
わかった。ありがとう、なぎさ
川本笑瑠
彩乃ちゃん、自分が予備の衣装をハサミで切り裂いた件で警察に捕まりたくないからって、本当に何もしてない可奈ちゃんを身代わりに売ったんだね。
……あはは、本当に最低な仲間だね
板倉可奈
彩乃、ウチを身代わりに……っ。そんな……私達、ずっと一緒に頑張ってきた友達じゃなかったの……っ!? 私をハメて自分だけ助かろうとしたの……っ!?
川本笑瑠
可奈、かわいそう……。本当は何もしてないのに、このままじゃ可奈が『いじめの首謀者』として世間にバラされちゃう。……ねえ、可奈。だったらさ、えみたちの『仲間』にならない?
板倉可奈
え…、っ?私が仲間?
川本笑瑠
そう。えみたちと一緒に、可奈をハメようとした彩乃や、大好きなグループを壊そうとしてるいじめっ子たち全員を、地獄に落とそうよ。無実の可奈が、一人で泥を被る必要なんてないんだから
板倉可奈
私が、復讐の、仲間に…
あなた
えみるの提案、悪くないでしょ? 私たちの仲間に入れば、無実の可奈をいじめの罪から護ってあげる。……どうする? アイドルを辞めたくないなら、選ぶ道は一つだよね
板倉可奈
……私、入る。あなたの下の名前、えみる。私を、二人の仲間にして……っ! もうアイドルを辞めたくないし、わたしを裏切ったあいつらを、絶対に許したくない……っ!
川本笑瑠
いい返事! 歓迎するよ、可奈。じゃあ、えみたちの仲間になった証拠として、次のターゲット……梅田みゆの『一番痛い弱み』を教えて?
板倉可奈
みゆ、は……っ。あの子、きゅーすとができる前からずっと里紗ちゃんのことを盲信してて……。裏であなたの下の名前たちの『あることないこと書いた怪文書』を学校や事務所にバラ撒く計画を立ててる……っ。その作戦会議の音声、私のスマホのボイスレコーダーに入ってるから全部あげる……っ!
あなた
ありがとう、可奈。最高の手土産。……それじゃあさ、今から自分のために嘘をついた『あの嘘つきさん』に、まずはご挨拶をしに行こうか?
【誰もいないレッスンスタジオ】
増田彩乃
可奈、どうしたの? 急にこんなところに呼び出して……
板倉可奈
彩乃、私さ、さっきあなたの下の名前たちに呼び出されて、あのLINEの画面見せられたんだよね
増田彩乃
っ……!?あ、あれは……っ、違うの可奈! 私だって、あいつらに脅されて、仕方なく……っ!
板倉可奈
仕方なく、何にもしてない私を犯人に仕立て上げて、身代わりに売ったんだ? 私がハブられるのが怖くて、ネガティブになりながらも、ずっと彩乃たちのこと
 『友達』だって信じてたのに
増田彩乃
可奈、待って! ごめんなさい! 私、自分が衣装を破いた証拠を突きつけられて、警察に捕まるのが怖くて、頭がおかしくなりそうだったの……っ! お願いだから、それ以上あなたの下の名前ちゃんたちに言わないで……
板倉可奈
もう遅いよ。私、あなたの下の名前たちの『仲間』になるって決めたから。あんたを地獄に落とすための証拠、私からあなたの下の名前たちに全部あげるね
増田彩乃
そんな……! 可奈、お願い、私達友達でしょ!? 助けてよ!
板倉可奈
友達……? よくそんな言葉、私の前で平気で言えるよね。私ね、本当に彩乃のことを信じてたんだよ? 
板倉可奈
追加メンバーのあなたの下の名前が入ってきて、彩乃がずっと焦って、嫉妬して、イライラしておかしくなりそうだったの、私いっちばん近くで見てた。……!
板倉可奈
みんなが彩乃のトゲトゲした態度に呆れて離れていっても、私だけは、絶対に彩乃の味方でいようって思ってた。ハブられるのが怖くてネガティブになって躊躇しながらも、彩乃がこれ以上壊れないように、私なりに必死に寄り添って、信じて、護ろうとしてたんだよ……!
【回想:数週間前の深夜・レッスンスタジオの隅】
(連日、追加メンバーのあなたの下の名前の成長に焦り、レッスンが終わった後も一人で荒れたように踊り続けていた彩乃。呼吸を乱し、鏡に向かって怒りを爆発させていたその時、可奈がそっとスポーツドリンクを差し出した)
板倉可奈
彩乃、もうやめなよ。これ以上やったら足壊しちゃう。……はい、これ飲んで?
増田彩乃
うるさい! 放っておいてよ! 可奈に私の気持ちなんて分かんない! 後から入ってきたあなたの下の名前のせいで、私のポジションも、ファンも全部奪われそうなんだよ!? 周りのみんなも、私が焦ってイライラしてるのを見て冷たい目で避けていくし……っ!
板倉可奈
私は放っておかないよ。みんなが彩乃から離れていっても、私だけは絶対に彩乃の味方だから。私、ダンスの技術も完璧じゃないし、ハブられるのが怖くていつもネガティブになって躊躇してばっかりだけど……
板倉可奈
でも、彩乃の努力も悔しさも、いっちばん近くでずっと見てきたから。ウチが絶対に彩乃を護るから、だから一人で苦しまないで……?
増田彩乃
可奈……っ、私、もうどうしたらいいか分かんないよ……っ!
【現在:放課後の誰もいないレッスンスタジオ】
増田彩乃
可奈……っ、私、私は……っ
板倉可奈
なのに彩乃は、自分が警察に捕まりたくないからって、本当に何もしてない私をハメたんだ。自分の保身のためだけに、私のこれまでの信頼も、あの夜の言葉も、アイドル人生も、全部踏みにじって生贄に捧げたんだよ! 
板倉可奈
私がどんな気持ちでそのLINEの画面を見てたか、あんたには一生分かんない。私が一番信じてたのは、里紗でも、ミサさんでもない……彩乃、あなただった……っ!
増田彩乃
ごめんなさい……っ、ごめんなさい、可奈……っ! 私が最低だった、本当に頭がおかしくなってたの……っ! だからお願い、見捨てないで……っ!
板倉可奈
彩乃が私を裏切ったのと同じように、私も、彩乃のこと絶対に許さないから。あなたが私にくれたのは、最悪の裏切りだけ。だから私は、その倍にしてあんたを絶望させてあげる。
……バイバイ、彩乃。もう私の名前、二度と気安く呼ばないで
増田彩乃
可奈!! 待って、お願い行かないで!! 可奈っ!!
恐怖と後悔で床に崩れ落ち、ガタガタと震えながら泣き叫ぶ彩乃。可奈は一度も振り返ることなく、冷酷な足取りでスタジオを出ていく。
川本笑瑠
最高だよ可奈!あの裏切り者にふさわしい、最高の絶望の顔だったね
あなた
うん、これで彩乃はもう二度とウチらに逆らえない。本当に頼りになるよ、可奈
板倉可奈
私の持ってるみゆの音声データも、いつでも使っていいからね。あいつら全員、私たちを裏切ったこと、一生後悔させてやるの
川本笑瑠
心強いや。



















あなた
お帰り!可奈!
川本笑瑠
お帰り!可奈!
板倉可奈
ただいま。やっぱり私の居場所は
ここにある
第十九話 おかえり!可奈!





増田彩乃ファンの皆様へ
今回の復讐ルート編にて、彩乃ちゃんにかなり痛々しくショッキングな悪役を演じさせてしまい、ファンの皆様を悲しい気持ちにさせてしまって本当にごめんなさい……っ!
これは読者の皆さんが「復讐」を選んだ世界線の、物語を盛り上げるためのフィクションの姿です。僕もあやのが大好きなので胸が痛いですが、ここからさらにドロドロとした因果応報のダークサスペンスが加速していくかと思います。
どうか最後まで見守っていただけたら嬉しいです……!

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