あなたの下の名前side
あぁ、言っちゃったよ
泣きそう。泣いちゃダメなのに……
そんなわけない…幸せすぎた
喧嘩のあとの仲直りだって、ほんとに楽しかった
確かに少し怖かったけど、そんな事で嫌いにならないし怒る気持ちも分かる
嘘ついたのだって私が悪いのに……
言いたくない……これだけは言いたくないよ
嫌だ、でも……言わないとこれから2人ともずるずる未練が残るだけ
きっぱり言わないと諦められないし諦めて貰えない
嫌われないと…
嘘ばっか……ほんとに最低じゃん
別れたくないし、他の人も好きになってない
リノの事、大好き。そう言いたいよ
あぁ、そんな顔させたくなかったな
ごめんね、泣かせちゃって…チャニオッパに怒られちゃうな
無理やりの笑顔…リノにはバレバレか
私がそう言うとリノは私の腕を掴んでいた手を離し、そのまま黙って立ち尽くしていた
「嘘」って言いたかった。
その掴んでた手握りたいよ…でも出来ない
私は急いで溢れる涙を抑えながら自分の部屋に戻って行った
リノside
あなたの下の名前に振られた
別れたんだ…信じたくないし嘘だと思いたい
リビングに1人になった俺は立ち尽くしたまま、何も出来なかった
お願い…その部屋からでて「ドッキリでした」って笑って戻ってこいよ…
怒らないから、責めないから、とびっきり優しくするから
ガチャ🚪
あっ、良かったと思って顔をあげた
そしたら…
そこには、俺が期待していた人ではなくて、何か全てを知ってそうな犬が居た
俺は何を弟に言ってんだろ…
スンミンは俺が言った事を返しもせず、ただ静かに俺のところまで来てハグをしてきた
言われた通り黙ってスンミンのハグを受け取ると、心地よくて少し止まっていた涙がまた溢れ出した
俺は思ってることを全部、スンミンに話して何時になったか分からないくらい話して、だけどそれをスンミンは全部受け入れてくれた
明日からあなたの下の名前とはただの同じグループのメンバー
そう思ってできるだろうか
窓から見える月はとても綺麗とは言えないほど、霞んでいた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。