第25話

✧ mrkm .気づいて、鈍感ヒーローさん
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2025/09/28 10:00 更新


夜の街に、彼の姿を探して歩くのが、
もうすっかり私の日課になっていた。



制服の上から羽織ったパーカーのポケットに
手を突っ込んで、ビルの合間を抜ける風を受けながら。
冷たさよりも、胸の高鳴りの方がずっと強い。




彼は毎日この時間帯、
決まってこの辺りをパトロールしている。
ヒーローとして、街の安全を守るために。



でも私にとっては、それだけじゃない。
今日も無事に彼に会えるかどうか、
それだけで一日の終わりが変わるのだ。


あなた
    ( あ … いた )       


電柱の影からふと顔を上げた瞬間、
ビルの上から軽やかに飛び降りるシルエットが見えた。
服の裾が大きく翻り、月明かりにその輪郭が浮かぶ。
いつ見ても、胸がぎゅっと締めつけられるほど格好いい。


あなた
    カゲツさーーーん!!!!     


思わず手を振って彼の名前を叫ぶと、すぐ気づいてくれた。


mrkm
   なんや , また来てくれたんか      


軽くマスクをずらして、彼は笑う。
整った顔立ちに優しい笑み。
その瞬間だけで、私は一日分の幸せを手に入れられる。


あなた
   毎日来るって決めてるんですもん!       
mrkm
   真面目やなぁ…もうぼくの日課になってるで    


冗談めかして笑う声が、夜風よりも心地いい。
でも、その言葉の 友達に会うくらいの気軽さ が、
胸の奥をちくりと刺す。


私はただの、彼と仲のいい知り合い。
毎晩話す相手で、時には相談に乗る友達。
それ以上の存在じゃない。



本当は、そんなのじゃ足りないのに。


あなた
    今日も異常なし?      
mrkm
    せやな。顔出してくれて嬉しいわ
この辺結構夜道危ないからな

あなた
    ……本当は , カゲツさん 
に会いたいだけなんだけど


ぽつりと、冗談めかして言った言葉。
けれど彼は、にこっと笑って頭を撫でてくる。


mrkm
    やっぱり あなた って良い奴よな。      
ぼくの事心配してくれるし


違う。
その言葉は違う。
私が欲しいのは、友達としての優しさじゃない。


胸の奥で叫びながらも、声に出すことはできなかった。
だってもし、今の関係すら壊れてしまったら……
毎日会えなくなるかもしれない。
臆病な私は、ただ 友達 のまま立ち尽くすしかない。



mrkm
    なあ。      


ふいに彼が真顔になって、私を見下ろす。
心臓が跳ねる。
今、何か特別なことを言ってくれるんじゃないか
そんな淡い期待がよぎってしまう。
少しでも、期待してしまう。


mrkm
    ここ危ないから , タクシーとかで帰り      
ぼくが送ってこか?
あなた
    ……大丈夫 , 一人で帰れる ,       


ほんとは , 一緒に歩きたい。
肩を並べて楽しい話をいっぱいしたい。
もっと貴方のことが知りたい。

なのに、また言えなかった。



彼はヒーローで、私はただの女の子。
その距離は近いようで遠い。
毎日会えても、心の距離は縮まらない。

私の気持ちに、どうして気づいてくれないの。
いや、もしかしたら…気づいていて、
わざと気づかないふりをしてるのかもしれない。


彼にとっては、私は守るべき一般人でしかない。
ヒーローと一般人が恋をするなんて、きっとありえない話。



気づいてほしい。
ただの友達じゃなくて、貴方は特別な人だって。


この想いが、きっといつか届きますように。


To be continued

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