🌸恋愛小説 第1話「放課後、君のとなりで」
夕焼けに染まる教室。
窓際の席で、僕はノートにペンを走らせていた。
カリカリという音だけが響く静かな時間。
その静けさをやぶったのは——隣の席の彼女の、
「ねえ、また居残り?」という小さな声だった。
「うん、数学テストやばかったから。」
そう答えると、彼女はくすっと笑った。
「私もだよ。いっしょにやろっか?」
その言葉に、心臓が一拍遅れて跳ねた。
彼女の笑顔は、夕陽に照らされて金色に光ってた。
二人で問題集を広げて、分からないところを教え合う。
指が触れるたびに、どっちからともなく視線をそらす。
——こんな時間が、ずっと続けばいいのに。
「ねえ。」
彼女がペンを止めた。
「文化祭、誰と回るの?」
突然の質問に、ペンが止まった。
「え? 別に、まだ決めてないけど……」
すると彼女は、ほんの少しだけ視線を落とした。
「……そっか。じゃあ、もしよかったら、私と——」
その瞬間、チャイムが鳴った。
夕陽が完全に沈んで、教室が静かになる。
彼女は慌ててカバンを持って立ち上がった。
「やっぱ、なんでもない!」
残された僕は、まだ彼女の声が耳に残ってた。
黒板の隅に、うっすらと光るチョークの文字。
『文化祭準備 ペア決め』
——次こそは、ちゃんと聞こう。
彼女の言葉の続きを。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!