時は1ヶ月半後____。
稲荷崎高校男子バレー部は春高予選大会に出場し、
見事春高の出場権を得た。
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あなたside
信介「集合。」
部員「はい!!」
いつもの部活の時間、顧問の先生が部員全員を集め、
連絡事項を話していた。
そして…
監督「宮!侑の方な。」
侑「はい。」
監督「お前に、〝全日本ユース強化合宿〟の声がかかった。」
侑「_!」
治「………」
銀島「凄いな…」
監督「来週の12月5日から1週間、東京や。
詳しい事はまた個人で説明するから、
しっかり準備しときや。」
侑「ハイッ!」
『(侑がユース候補…凄い…!)』
来週から1週間東京に行くんだ…
ちょっと寂しいけど、応援しなきゃ!
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部活終わり。
治「来週からおらんくなるんやな〜」
侑「嬉しそうに言うなや!!」
『頑張ってね!侑。』
侑「おん!……あ。」
『ん…?』
帰り道、3人で話しながら帰っていると
侑が何かを思い出したかのように立ち止まった。
侑「……来週から1週間会えんくなるやんか…」
『そうだね、』
治「…なんやねん、1週間くらいで
めそめそするんちゃうやろな。」
侑「うっさいわ。心配やもん!あなたが
他の男に取られてまうかもしれへんやんか!!」
そう言ってぎゅー、と私を後ろから抱きしめる彼。
『ちょっと。//苦しいよ…』
侑「あぁぁ嫌や!一緒に着いてきてや!!
マネージャーとして!!」
『無理ですっ!
……私も少し寂しいけど、学校で応援してるから!』
侑「……LINEとか電話するから、絶対出てな?」
『うん!』
侑「サム、俺がおらん間あなたん事頼むわ。」
治「やかましいわ。当たり前や。」
『(あれ、なんか私飼い犬みたいな……)』
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次の日
学校にて。
『……ねぇ。』
侑「んー?」
昼休みの時間、私を後ろから抱きしめて離そうとしない侑。
昨日、ユース合宿に行くことが決まってから
ずっとこの調子だ…。
『(さすがにくっつき過ぎだよ…))汗)』
侑「…なぁ、あなた」
『…なに?』
侑「俺ん事好き?」
『うん!大好き。』
侑「ふっふ。俺も大好きや!」
さち「ねぇー。何なん。宮あつベッタリやんか。」
みよ子「見とって暑苦しいで……バカップルか!」
『だって侑が離れてくれないんだもん…ッ』
なんとか引きはがそうとするも
「あかん。」と力負けしてしまった。
侑「ええやん、充電しとるんやから。
邪魔せんといて〜」
治「…またここに来とったんかツム、
ついでに___これ1年生の女の子から。」
教室に入って来た治が半ば呆れ気味な目をしながら、
侑に小さな〝手紙〟の様なものを渡す。
『…?』
侑「…なんや、これ。」
治「毎度お馴染みの。」
侑「…はぁ。ラブレターなん?」
『_!(そうなんだ…)』
侑「いらん。返しとってや。」
ポイッ、と治の机に投げる侑。
『…読まないの?』
侑「読まん。どうせどこどこに来てくれだの
好きですだの書いとるんやろーし。
時間の無駄や。」
治「ほんまクズ」
侑「彼女一筋って言えや!」
『侑って…前から極端に女の子に態度が冷たいよね。
ちょっと、可哀想だよ、、』
確かに私は彼女で、他の子にちやほやされるのは
正直妬いちゃう時もあるけれど。
でも…自分がこんな態度取られたらって考えると
嫌なんだよなぁ。
『…せめてちゃんと返事したら?』
侑「お前は俺が他の女に取られてもええんか!?」
『いや、そうじゃなくて!可哀想でしょ?』
侑「可哀想やない。全っっ然可哀想やないわ。」
『…もう。』
治「あなた、こいつ人格ポンコツやから、
もうしゃあないねん。」
侑「ポンコツちゃうし。あなたしか興味ないんやもん。」
『…わかった。じゃあこれから侑が女の子の告白に、
ちゃんと返事しなかったら侑と連絡取らない。』
ぱっ、と離れると「はぁ!?」と声を上げる彼。
侑「嫌や!!」
『じゃあちゃんと返事してあげて?』
侑「……わかった。」
『よし。』
侑「ほな行ってくる。」
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侑side
侑「はーめんどくさ。」
なんやねん…あなた。
俺はお前一筋で、他の女に時間割くんが勿体ないんや。
さっさと終わらせたろ。
しかも相手は1年やんか。
この間の件もあるし……あんまいい思い出無いんよな。
図書室前にある渡り廊下に行くと、
1年生の女子が1人で立っていた。
侑「(あの子やな…)なぁ、手紙くれたん、自分?」
1年「_!来てくれたんですね…!」
侑「おん。せやけど、俺彼女おるから。ごめんな。」
1年「いいんです。ただ……先輩に伝えれて嬉しかったです。
来てくださって…ありがとうございました…っ!」
泣きながら俺をみる1年の女。
泣かれても別になんも感じられへん。
あなた以外の女にいっさいの慈悲が無いんや。
けど、あいつとの約束やしな。
侑「…ありがとうな。
あんま泣いたらアカンで?…ほな、俺もう行くから。」
1年「っ…!(宮先輩優しい…)ありがとうございます、!」
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あなたside
侑「ちゃんと返事して来たで。
褒めてや。」
『当たり前ですっ!』
侑「えー、俺褒められて伸びる子やねん!」
治「言うても伸び代ないやんか。」
侑「やかましいわ!」
キーンコーン_____
予鈴がなり、昼休みの時間は終わり。
自分の教室に戻ろうとした侑は、
帰り際に私の耳元で、
〝ご褒美もらうから放課後、覚悟しときや。〟
と言って行ってしまった。
『ご褒美って………』
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〜放課後〜
侑「いやぁ〜今日は部活休みで良かったわ。」
『……これは一体どういう状況でしょうか。』
今いる場所は__宮家のリビング。
そして侑は私の膝を枕にし気持ちよさそうに目を閉じている。
『ご褒美って…膝枕してほしかったの?』
侑「んー。それもあるけどな、
いちゃいちゃしたかってん。」
すっ、と起き上がってちゅっ、と触れるキスをされる。
侑「……このまま深くしたろか?」
『…だめ。』
侑「ふっふ、嫌なん?」
『っ……//嫌じゃ、、ない、』
見つめる瞳がズルくて…敵わない。
侑「ふ…顔真っ赤や。」
ドサッ、と押し倒されてしまい、
私の上でニヤ、と笑みを浮かべる侑。
侑「なぁ、…このまま……する?」
『…!だめ…』
侑「あかんのん…?」
チュッ…
『んっ、や、ちょっ_!』
ススッ…と下着に手を掛けられ、止めようとした瞬間。
宮パピ「…あー。………ゴホンッ。」
『!?』
侑「!?」
侑の…お父さんが…いる…
え、見られた…!?
『(恥ずかしい…っ………)』
侑「なんやねん!!今日はえらい早いやんか!
ってか邪魔すんなや!」
宮パピ「いやその、…ほんますまんかったな。」
そう言うとお父さんは早々と別の部屋へ行ってしまった。
____バタンッ。
侑「はぁ…ごめんな…」
『う、ううん、大丈夫…))汗』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!