1度目のライブリハーサル。
本番会場ではないけども。目の前には松本さんがいて。
ウェディング企画が終わった今。
少しだけ歌詞の意味がわかった気がする。
「片岡。課題曲。聞かせてくれる?」
マイクで名指しされた中、ざわつく周り。
翔太が寸前まで一緒だった。
大丈夫か?って、聞くから少し苦笑いして
「怒られて泣いたら、、抱きしめてね。」
隣にいた菊池さんがその言葉に少し驚いてたけど。
私は呼び出されてリハーサル会場の真ん中に立つ。
「さぁ。アーティスト片岡を見せてもらおうかな」
そう言われて私は音楽に身を任せる。
『さぁ、怖くはない
不安はない
私の夢は みんなの願い
歌唄えば ココロ晴れる』
そう、私にとっての『私』はSnowManだ。
『大丈夫よ 私は最強』
ハイトーンが気持ちよく出て。
周りに対して、私はどうだ!!!と言う気持ちが前に出る。
でも、
「片岡。ストップ。」
そう言われドキッとしてしまう。
「わかってない。
この歌詞の意味、歌えてる?
お前は誰に向かって歌ってんの?』
厳しい言葉が飛ぶ。
私は思わず手を強く握る。
こんなに、歌を指摘されたことなんかない。
「最終リハーサルの時。この歌が歌えなかったら。
お前のソロは全撤回する。」
そう言われて。悔しさで思いっきり松本さんを睨み返してしまった日。
帰る準備を、していても先輩達も
いや、良かったよ?とか、何が、ダメかよくわかんないけどなぁとか声をかけてくださるけど。
わからない。見えない。歌えない。私が歌う歌じゃない。
悔しくて。悔しくて。
「あなたー!」
目の前にはさっくんがいて。
「さっくん、、、。」
廊下の向かいから、歌聞こえてたよ!って言われて私は黙り込む。
「あなた、俺たちのこと思って歌ってくれたでしょ?」
そう言われて図星で。 うん。
と答える。
「でもさ、あなたはその向こう側にはどう伝えたい?ファンの人にどう伝えたい?」
私はハッとそこで、思い返す。
この新会社になって1番不安なのは。
去年1番不安だったのは。まぎれもなくファンの皆さんだ。
「大丈夫だよって。私たちは変わらないって。」
伝えたい。
そうさっくんに言うとさっくんはふわっと笑う。
「じゃあ!そう歌えばいい!だってそう言う曲じゃん!!」
そう言われて私は笑って頷く。
そうだ。この歌は。出発する私たちを、ジャニーズのファンを不安にさせないための歌だ。
会場での、最終の通し。
あなたは本番さながら、ソロ曲を衣装を来て通す。
それは赤と白の
「赤の花魁衣装、、、。なんで?」
俺は深澤と並んでそのリハーサルを見守る。
「えー?何歌うんだろ?すごい衣装だよね」
そう言って山ちゃんが話しかけてくる。
他の後輩メンバーも興味深々で見守る中
「片岡、分かってると思うけど。ラストチャンスだから。」
マイクで松本くんが圧をかけるから、こうじなんかもびびってしまっていて。
「あなたちゃん大丈夫、、、?」
ラウールが不安そうに見つめる。
では始めます!とスタッフから声がかかり、
『さぁ、怖くはない
不安はない
私の夢は みんなの願い
歌唄えば ココロ晴れる』
その声にみんなが惹きつけられる。
『大丈夫よ 私は最強!!!!』
そのハイトーンが響いた時に鳥肌が立った人間がいただろう。
「まんま!!ウタがいるじゃん!!!」
興奮気味で隣にいた翔太にそう言うと、
いや、ちょっとさ。次元が違うよね。と言ってあなたを見つめる
『いつか来るだろう 素晴らしき時代
今はただ待ってる 誰かをね
繰り返してる 傷ましい苦味
火を灯す準備は出来てるの?
いざ行かん 最高峰っ!』
そう言われたとき、見学してる全員に向かってぐるっと指差しするあなたに手を振る先輩や後輩たち。
「そっか。あなたわかったんだなー!
そう。みんなで最高峰を取り返すんだよ。」
俺はポツリとそう言った。
『最愛の日々
忘れぬ誓い
いつかの夢が 私の心臓
何度でも 何度でも 言うわ
「私は最強」
「アナタと最強」』
そう伝統を忘れたわけじゃない。
メンバーとの誓いを夢を叶えていく。
あなたの言うアナタはきっとファンの方達の事だろう。
あなたは新しい事務所の象徴だ。
唯一の女の子。異色だらけの彼女らしい。
「そう!それだよ。じゃあ次、行こうか。」
松本くんが言うと、生バンドでエイトの先輩方が後ろで演奏し出す。
さっきとは違う、暗そうな曲。
『何処から喰へば良いものか
美味いものか不味いものか
さっぱり俺にゃ分からない
決まりばかりの世の中じゃ』
会場が騒然とするほど、衝撃的で。
真っ赤な口から紡がれる歌詞は反骨精神丸出しだった。
『あゝかっぴらけや其御口
宴、宴が始月曜
勿体無ぇや 一度切り
好きなもの丈 食べなはれ』
悪そうな笑顔でカメラを見て、長い爪で指をさすあなたが回すこぶしに
圧倒的な空気の支配と
自分が宴の主催だといわんばかりの堂々さを見る。
「本物の、、、鬼みたいな。
少し余裕があって、猟奇的な、、、。
あなたらしい選曲だね。」
いつの間にか、隣に来たあべちゃんがそうポツリと声をもらす。
『御釈迦が蜘蛛の糸垂らす
遅くはないわ 御出なさい
地獄の聲が耳を打つ
踏み外すのも惡くない』
そうウィスパーに歌うあなたに全員が息を呑む。
レーザーの赤とスモークが恐ろしさを表現する。
あなたが天を見て悪い顔で思い切り笑うのがわかる。
それにまた、俺たちは背すじが凍る。
『あゝかっぴらけや其御口
宴、宴が始月曜
勿体無ぇや 一度切り
好きなもの丈 食べなはれ
堕ちるとこまで堕ちなはれ』
「宴だぁぁぁああああああ!!!!!」
そうあなたが思いっきりシャウトした。
もう、その場に居た全員が大拍手で。
俺や阿部ちゃんを見つけて満面に笑うのはいつものあなただった。
俺たちはそのギャップに
思わず怖くなってしまったのも事実だった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。