『スキマスイッチさんの『みんなのスキマスイッチ』っていうアルバムにあなたさんが歌い手として選ばれました!!』
そう聞いたのはそれスノを収録前の楽屋。
え?と一瞬間が空いたけど
みんなが
おー!!!おめでとう!!!
よかったねー!!
めっちゃすごいじゃん!!!
と祝ってくれて。
「渋谷さんがぜひ片岡さんにも!って推したらしいです。
スキマスイッチさんもぜひ歌ってもらえるなら!とお声がけいただきました。」
「えー!俺らの青春時代の曲いっぱいのアーティストさんだよ?すごくない??」
翔太がすごい喜んでくれていて。
「奏とかよく歌ったよねー、カラオケとかさ。」
ふっかはそう言ってマネージャーさんが持ってきてくれたアルバムの歌のリストを一緒に見ている。
「やっぱり奏歌うの??
あなたちゃんの奏、聞きたいなぁー」
ラウがそう言ってさりげなく後ろからハグして来て、肩に顎を置いてくる。
「でも『ボクノート』もいい曲だよねぇ」
さっくんがそんな風に言いながらラウールを私から引き剥がした。
ラウがさっくんに
ええ!!!なんで剥がすの!?!
なんて言うから、さっくんが
いや!お前あなたに近いんだよ!!!
なんて言い合いするのはいつもの事で。
ひーくんや蓮なんかはスルーしている。
それに思わず笑ってしまう。
今の私の歌いたい歌をリクエストさせてもらう。
「『藍』を歌いたいです。
今の私のままだから。」
そういうとマネージャーさんはすぐにその手配を始めてくれた。
あなたがどんな歌をリクエストしたのか気になって
すぐに検索をかけた。
すごくストレートな恋愛を歌った歌で。
アイドルであるあなたの葛藤が歌詞として素直に出された歌だと思った。
そんな歌を歌いたいって言ったあなたが無性に愛おしくなって。
なんとなく、あなたのことを後ろから驚かないようにそっと手を握ってみた。
「阿部ちゃん?どしたの?」
「あなたの好きな人とあなたはいつ会えるんだろうね。
でも、あなたは会う気がないんだね。」
そうボソッと言うと、
阿部ちゃんは敏感だねーなんて笑うあなた。
「あなたのさ、自由にしたらいいんだよ?
俺らがどうとか考える必要ないんだよ?」
そう照があなたに言うけど、あなたは悲しそうに笑う。
「だって、私アイドルだからね!
で、臣くんの彼女なの。それも私がやらかしたこと。
全部背負ってくれてる。
そんなの裏切っちゃったらイメージ悪くなっちゃうじゃーん!」
明るくわざと言うあなたが
昔より少し大人に見えた。
「えー?どんな歌なん?
聞いてみたいわー!」
こうじがそう騒ぎ出す。
ギターがあればすぐに歌えるのにねー
なんてあなたが両肩をすくめて、少しおどけて言うから
「ええ!?!ギターどっかにないん!?!」
とスタッフさんに聞いて回るこうじに便乗する佐久間。
それがあるんですよねー!!!
セットの一部なんですよー!!!!
そう言ってそれスノスタッフが鼻息を荒くしてスタジオへと移動ついでに俺たちに移動するように促してくる。
スタッフさんからギターを手渡されたあなたは
ええー?本当に歌うの???
なんて半笑いだったけど。
「俺も聞いてみたい。どんな曲なのか」
めめが真剣にあなたにそう言うもんだから、あなたは根負けしてスタジオのいつもの椅子に腰掛ける。
それスノスタッフはこっそりその様子をカメラに収めようとしてたのは俺しか気づいてないだろう。
カメラマンさんは人差し指で シー と言う仕草を俺にむけてくるから、おれもウンウンと頷く。
なんとなく照も気づいてたみたいで目があって笑い合う。
あなたがギターのチューニングを始めて。
音が鳴り出す。
『「愛」どこで誰が創造したもんなんでしょうか 難解なんだね』
あなたの声がスタジオに響く。
まるでそう歌い出すあなたはいつもの色っぽさはなくて。
切なくて。等身大の彼女だ。
『愛すべき人は運命的に決まってるって
それが本当なら
視界に入ったもの
すべて受け入れてしまえばいいんだ
解っちゃいるんだよ
大通りのど真ん中を歩けるような僕じゃないから
大抵足元を気にして生きている』
もう彼と会う気がないんだろう。
そう、俺たちは堂々と異性と自由に会えない。
だからこんなに切なくて。
メンバーが全員その声に押し黙ってしまう。
『最大の問題点はね
現状じゃね どうしようもない関係だね
そのうえ会いたくなるんじゃ もう嫌になるよ
どうかいなくなれ
こんなんなら存在自体消してしまえ
来週はいつ会えるんだろう
ねぇ、僕らいつ会えるの?』
そう歌い終わってギターを弾くあなたの姿に
若い女性のスタッフさんや、メイクさんなんかはもう涙を流していて。
「切なすぎます、、、っっ」
あなたと仲の良いスタッフさんがその場でしゃがみ込んで号泣していて。
他の男性スタッフさんなんかも、もちろん俺たちも目がうるうるしてしまって。
ギターを演奏し終わったあなたが
いやいや!泣きすぎでしょ!!!!!!って慌ててスタッフさんに駆け寄る。
「遠距離恋愛で今、すごく悩んでてっ」
と話し出すスタッフさんの話を同じようにしゃがみ込んで聞くあなたが
俺は愛しくて。
「「本当、好き」」
ボソッと言った独り言が隣にいためめと被って
思わずお互いを見合った。
「阿部ちゃん。
俺、あなたは譲る気ないから。」
真っ直ぐ見つめるめめが真剣で。
「そっかー。
でもねー。俺も譲る気ないからなぁー。」
そう言い返すとめめは だよね なんておれに笑いかけてきた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。