ジムに着くと
海青さんがいた。
いつもストイックでめちゃくちゃ筋肉ついてる。
ムッキムキ。
壱馬さん
という言葉に敏感になってしまった。
なんだろ、何を言われるのか。
それかずっとトレーニングに打ち込んで休憩。
さっき買った水を喉に通す。
じわじわと体に染み込んでいくのが分かった。
鏡を前に思ったことがある。
僕、もう少し筋肉つけたい。
あなたさんにも言われた通り細いと自分でも思う。
男らしくない。
そう思うようになって、
トレーニングを終え、休憩している海青さんに聞いた。
ペットボトルを握りしめてニコニコする。
僕そんなに…?
スペシャリストの海青さんに教えてもらえるなんて
絶対、僕筋肉つく。
そんな軽はずみな思いで挑んだトレーニング。
今、ベンチプレス中…
やばいぞ…
こんな重さの初めてっ…!
あなたさんのため!!!
そう心で思いながら続けた。
程よい筋肉付けるぞ ~ !
といった海青さん式トレーニングは終了し
ジムの床にベタっと倒れ込んだ。
そんなけやっていれば慣れても来るだろう。
明日筋肉痛…
ムキムキな体に1枚のタンクトップ。
うん、カッコイイ。
僕も…いつかっ…
いや、僕があんなことしたら引かれる決まってる。
姿を想像するとプルプルっと寒気がした。
ちょっと時間が余ったから
「 あなたさん 、今トレーニング終わりました笑 」
なんて、あなたさんにLINEした。
まぁ、お仕事中だと思うし来ないと思う。
ただトーク画面を眺めてると
あなた 「 お疲れ様 」
その4文字だけ送られてきた。
やべぇ…
めちゃくちゃドキドキする。
「 程よい筋肉付けます 」
あなた 「 程よい筋肉好きだねぇ。」
「 はい! 」
僕で終わった会話。
忙しいか…
寂しい。
ペットボトルとタオルを持って外に出ようとドアノブに
手をかけた時。
向こうから誰かが押してきて
ベンチに座る壱馬さんは僕をみて
口角を上げてそういう。
って、始めようとする。
あれ?
話は?
海青さんが言ってた僕を呼んでいた理由は?
ちょっと気になってその場に立っていた。
ゴクリ、喉を鳴らして緊張が走る。
思っていたことそのままが僕にヒットして驚きを超えた。
ちょっとだけ悲しい顔をする壱馬さん。
どうして?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。