和也side
大ちゃんと流星が簡単な自己紹介をしたりして談笑しとるのを見とったら、突然コンコンと扉がノックされた。
和也
「どうぞ〜」
丈一郎
「流星、お姉さんが迎え来てくれたで。もう下におるって」
流星
「ん、え?おねぇちゃん?」
丈一郎
「そう。あれ、流星と約束した言うとったけどな」
流星
「んー?」
あれ?と首を傾げながら考える流星。
結局思い出せれんらしくて、手帳は?と助け舟を出した。
流星
「……あ、あった!えーと…5時にお迎え…きょろちゃんに言う……ぁ言ってない」
大吾
「きょろちゃん?」
和也
「高橋くんのこと。同じ学年やない?」
大吾
「え?!」
和也
「流星、恭平にはもう言っとるから大丈夫やで〜?お姉さん待たしたらあかんし帰り?」
流星
「え、でもまだ大ちゃんと…」
大ちゃんとまだ話したい流星と、待たせたらあかんって思っとる流星がぐるぐるしとるぽくて、アワアワと泣きそうになっとる。
大吾
「流星、また今度ゆっくりお話しよう?」
流星
「んぇ…」
大吾
「いつでも俺はお話できるから、な?」
流星
「…ん、うん。またお手紙、書いてもいい?」
大吾
「もちろん、ええよ。あ、流星が良ければ靴箱まで一緒に行ってもええ?」
流星
「うん!」
パアア!と花が咲いたように流星が笑って、大ちゃんも安心したように微笑んどった。
和也
「ありがとなぁ」
大吾
「え〜?何が〜?」
照れくさそうに笑って流星と帰った大ちゃん。
自習室のドアが閉まって、丈くんと顔を見合わせて「よかった」と呟いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。