私が野球に触れたのは
多分 5歳くらいだ
多分 というのは曖昧だからだ
けど 、はっきりしない年日でも
彼らにあったことは覚えている
父がコーチとして属するチーム
宝谷シニアという
野球のシニアチーム的なアレらしい
当時の私はよく分からなかった
それでも暇だったから
仕方なく父について行った
父はシニアのコーチだったが
難しそうだったので
年齢の近いリトルの方を見ていた
カキーン と響くような音がする
見惚れたのは野球では無かったはず
今さっきボールを飛ばした要圭 。
特別美味いわけでもないけど
どこか彼に惹かれた
そう 、 私が当時
見惚れたのは彼だった
中学3年
その頃には圭と呼ぶようになっていて
彼の幼なじみである清峰葉流火とも
馴染み深い チームメイトになっていた
野球熱心になった圭は
アホな部分がかなり薄れた
少し寂しいが
彼らしくもあって嫌では無い
まあ少し色々あって
野球部のないごく普通の都立高校に入学
放課後 、 カキーン と
バットがボールに当たる音がした
私の大好きだった音 。
気になって教室から
ゆっくりグラウンドに出てみた
大丈夫 見間違いだ
伸びが怪しかったら消す
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。