中島
遠くからゆうせいくんの声がした
夢かな、僕のこと呼んでる気もするけど聞き間違いな気もする
なんでもいいけどとにかくしんどい
ゆうせいくん
なんか言ってるけど目が開かん
あー夢じゃなさそう、1人じゃなくてよかった
ふわっと体が揺れた。
温かくて大きな手が背中に乗る、ゆっくり撫でられてる感覚がきもちいい。
体が痛くて、重くて、子どもみたいに泣きじゃくりたくなるようなつらさ。
勇征「どこがしんどい?」
そんなんぜんぶですよ
って言いたくてもうまく口が動かなくて。
そしたらベッドが揺れて、さっきまで触れていた温もりがなくなった。
まって、行かんといてってば、
あー、また1人やん。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。