「やあ、フィユティンヌ」
キヅタの声は表面上は穏やかだったが、その奥に潜む狂気を隠しきれずにいた。彼のサイキック能力が周囲の空気を重くし、小石が宙に浮き始める。
「君はそんな退屈な白な男の傍にいるべきじゃない。私と一緒に来るんだ(てか、俺って言いかけてたね……)」
「断る」
ペルシエが毅然とした声で答えた。ラタランテーズを手に取り、構えの姿勢を取る。
「フィユティンヌは……オ…ボクが守る。オ…キミの相手はこのボクだ!」
キヅタの片方が白、もう片方が黒のオッドアイが危険に光る。彼の周囲で念動力が渦巻き、街路の石畳が軋み始めた。
「君には聞いていないんだよ、保安官。フィユティンヌ、答えるのは君だよ?(お前って言いかけてる。けど、外見はフィユティンヌと同じだね。どうしたの?)」
フィユティンヌはペルシエの背中に顔を押し付けるようにして震えていた。キヅタの異常な執着心と、その恐ろしいほどの執拗さに恐怖を感じていたのだ。
「ひっく…ペルシエ…」
涙声でペルシエの名前を呼ぶフィユティンヌ。その泣き虫な反応を見て、ペルシエの胸に怒りがこみ上げる。
「やめて、キヅタ。フィユを怖がらせる、な?」
「怖がらせている? 私が?(中で変異してるかも。保安官の方ね)」
キヅタは大げさに驚いたような表情を作ったが、すぐに狂気じみた笑みに戻る。
「私はただ、愛しているだけだよ。フィユティンヌを、心の底からね(……これ、保安官狙えば良かった?)」












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。