「お願い、怒らないで聞いて欲しいんだけど…」
珍しく私の事を静かに起こしたなと思えば、リビングで開口一番にこんなことを言ってきた。
毎朝不機嫌そうに私の事を起こすのに、おかしいなとは思っていたが…またなにかドジしたのだろう。
母との付き合いも15年、昔からドジなのは変わらないため今更驚くことは無い。
申し訳なさそうなこの声も、何百回と聞いている。
「なにしたの」
反抗期真っ只中の私はいつも通り、素っ気ない返答をする。
「昨日、間違えてあなたのセーターを洗濯機で洗濯してしまって…縮んでしまったの。本当にごめんなさい、お気に入りのセーターだったよね、」
はー最悪。まじ有り得ないんですけど。
あれお揃いのやつ、友達とお揃いで買ったセーターなんだけど。
あ"〜無理最悪。
「…まぁ、別にいいよ。今更どうしようもないし」
自分の本心を言ってしまっては、母を傷つけるだけだ。
そんなことするくらいなら、きっと冷酷な反応の方がいいだろう。
どうしようもないのも事実だが。
「本当にごめんね…同じセーター、買い直す?」
「…いい。買い直さなくていい」
「あ…ごめんね」
買い直したのは、友達とお揃いで買ったものとは違う。
それはただただ買っただけのセーターに過ぎない。
そんなのは要らない。私が大切にしていたのは、あの時2人で買ったセーターだから。
「…ごちそうさま。いってきます」
イラつきを隠しきれず、そそくさと朝ごはんを食べ終えて玄関を出た。
「…いってらっしゃい」
………申し訳なさそうにすんなよ、空気悪い。
「ってことがあったんだよ〜ほんとごめん…」
休み時間。何気ない普段の会話の中、今日の朝の話をした。
「もうあのセーター着れなさそうだからさぁ…今度遊び行く時、なんか別なのお揃いで買お!私があんたの分も買うから!ほんとにごめん!!」
手を合わせながら頭を下げる。
私もそうだが、友達も物はとても大切にしている。
それこそ、お揃いの大切なものだ。
ちゃんと謝って、私のせいではないとしても、ちゃんと……
「え"、それまじで?」
黙って聞いててくれた友達が、やっと声を発した。
「いやほんとにごめん!ほんとに……え、なんでお前そんな目真ん丸く…」
「…あんたパクった?」
「………………はい?」
何言ってんのこいつ?私の話聞いてた?
「昨日、あたしら2人で出掛けたじゃん?」
「うん」
「あたしもあんたも、セーター着てたよね。あんたのお母さんが縮めちゃったやつ」
「うん」
「あたしも」
「………は?」
「あたしも、そのセーター洗濯しちゃって、縮んで着れなくなったの」
「……………はぁあああ!?!?!?」
「いやそれはこっちのセリフな!?話聞いててデジャブでも見せられてんのかと思ったわ!!」
「いやいやいや…有り得んってまじ…」
「ほんとあたしらの親、なんでこんなにアホなんだろ…」
「いやまじそれな」
「てかさ〜、あたしら2人ともセーター縮ませちゃったなら新しいのとか買わなくて良くね?」
「えーでもちゃんとしたのあった方がいいじゃん」
「うん。だから」
「………だから?」
「だから、縮んで着れなくなったんでしょ?なら作ればいいじゃん。毛編みのセーターなんだから、マフラーでも何でも、それ使って編めば作れるじゃん」
「………えお前天才じゃん!!」
「だろだろ!?よっしゃそれならはやく作ろうぜ!」
「はよしないと冬終わるしな…よっしゃ作ろ!」
あ"〜…あとで母親にお礼言っとかなきゃだな…
災い転じて福となす、って、まさにこのことじゃん。

今回もこちらを元にして作りました⸜🙌🏻⸝
危うく殺人現場になるとこでした…()
ほら、「怒らないで聞いて欲しいんだけど、」から始まる不倫浮気物語だよ。お揃いかなんかの適当なマフラーで首絞めちゃったらあらま死んじゃった、災い転じて自殺現場に出来たよ捕まんなかったよ新しいパートナー見つかったよほら無限ループだよ、とか()前回よりは上手い…はず…🫠
読み返すと意味不やななんやこれ(
※3月にこの話作ってます。想定では1月2月の物語です。今4月とか知らん聞こえへん()











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。