先程の鏡が気になって仕方がない。
が、接客⋯⋯じゃなくて、世界疲れてしまった人間サマのお相手はしないといけない。
ほら、こうして〝ミオ〟を望むヒトがまたひとり。
だから、どんなときでも私は____
澪音から、ミオになるんだ。
仕事終わりの休憩室で、後輩ちゃんに会った。
まさか開口一番褒められるとは思っていなかったけど。
瑠流ちゃん。私の後輩もとい教え子だ。
瑠流ちゃんと別れ、店を出た。
直訳すると〝羽のカクテル〟な店名。
でも、よく見るとWTが隠れているのだ。
それに、私には彼らに見合うような美しさなんて無い。
ミオなら。ミオが本当の私なら。
いけない。最近、変なことばかり考えちゃうな。
そう。ミオはすっごく可愛かっ⋯⋯⋯⋯
声がする。
知ってる声。
よく知ってる、声。
こんなところで、出会う訳のない人の。
ありえない。ありえない、こんなこと。
現実になれば、嬉しいけど。
聞こえたままに動く。
鞄の中、スマホの感触。でも、地味にあったかい気がする。
画面が光っている。
そこには、きんときがいた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。