第5話

帰る道すがら
456
2020/12/15 08:17
ビルを脱出するとき、警察が待ち構えていた
どうやら中にも警備を増やそうとしたらしい
その結果、怪盗Tであるてつやは見つかった
てつや「面倒くさいな、もうここは強行突破するか、張り合いが欲しいって言ったけど、やっぱ要らないわ!」
一応無言でお宝を取るのは怪盗としてのルールを破るので予告状を送ったまで
てつやに飛びかかって来る警察を怪我をさせない程度で蹴りや拳、手刀を入れて気絶させる
赤外線はもはや無視した方が早い
てつや「窓から脱出の方が早いか、よし」
あらかた片付けた警察を放っておき、てつやは近くの窓ガラスを叩き割る
その拍子に手を怪我したが、手当てすれば問題はない
てつや「ーっ!?」
窓の柵の部分に足をかけたとき、自分に向けてライトが何個も向けられる
『見つけたぞ怪盗T!!今日こそは捕まえてやる!!!』
下でメガホン越しで警察の一人、おそらく一番の支持者である警部がそう叫ぶ
もう見慣れた顔だ、宝を盗む度に来るんだから...名前は覚えてないけど
てつや「まっぶしぃ...ちょっとおじさんたち、こんなにライト当てんでも良くない?」
文句を言うてつやの言葉を、警部は無視した
てつや「そんなに俺を捕まえたいんだ...でも残念」
てつやはポケットからある小さい玉を二つ取り出す
てつや「そう簡単に捕まる俺じゃない」
一つを下にいる警察に、もう一つは近くの壁に叩きつける
その衝撃で玉は割れ、中から大量の煙が出る
一種の煙幕だ
警察がそれを食らっている間、てつやは素早く下に着地し、警察の間をすり抜け、走りながら変装をする
煙幕が切れたのと同時に、怪盗Tがいないことに気づいた警察たちは周辺を探しまくった
その時既に変装をしてその場を去っていたてつやは、来た道を歩いていた
足元にちゃんと猫がついてきているのを確認しながら
てつや「猫、今日も上手く行ったな」
ナーン、と鳴く猫
てつや「帰ったらご飯あげるから、それまで頑張って」
納得した猫が力強く歩いている
てつやは手に入れた指輪を見る
てつや「へぇ、結構大きめの宝石付きの指輪だな...厳密な価値は分からないが、おそらくこの間盗んだ腕輪と同等の値段...」
腕輪と指輪を交互に見つめる
てつや「それにしても、指輪を見つけたとき腕輪が一瞬光ったのは一体...」
ちゃんと見たわけではない、だが微かな光を放ったのを、てつやは感じていた
てつや『確か、チューズワンの腕輪だったけな?日本語に簡単に訳すと選ばれし者...もしかしたら、この腕輪の選ばれし者がいるのか?はたまたそれは俺なのか?選ばれし者が着けると、何が起きる?』
今はてつやが何気に気に入っているから着けている腕輪
どーせ盗まれた被害者にしか分からんし、動画出るときだけ外せばいいや、と思っていたてつやは、堂々とメンバーの前で着けていた
被害者以外見たことないんだ、メンバーが見ても凝ってる腕輪着けてるな、くらいにしか思わんだろ
それを着けているのがてつやだから尚更
てつや「指輪を盗んだけど、アイツ...じいちゃんを殺したやつは現れなかったな」
てつやの第一目的は、自分の祖父を殺害したやつを探し出すこと
お宝は二の次だ
てつや『だけど、いつか必ず現れる...その時は絶対に捕まえてやる』
ふと、近くの家を見ると、そこは自分の自宅
色々考えていたら、いつの間にか自宅に着いていた
てつや「とりあえず、今日は寝よ...もう疲れた、どーせ遅刻したってしばゆーとかとしみつら辺も遅刻すんだろ」
道連れを考えているてつやは最低だ
てつや「あっ、今日そーいやりょうに会ったんだった!ヤバイな、下手な言い訳したら不審がられるな、俺の変装姿見て誰かに似てるってことは、100%俺のことだろうし」
猫を抱き上げ、言い訳を考えるてつや
てつや「まぁ家で編集してたー、とか、寝てたーとか言えばいっか、別にアイツが俺のそばに常にいた訳じゃないしね!アリバイはないけど、平気だろ」
呑気に結論を出したてつやは、自宅へと帰還して、シャワーだけ済まし、怪我した手を包帯で結んだあと、ベッドに体を預けた
てつや「......あ、編集してねぇ」
今朝それで虫眼鏡たちに怒られたことを思い出したてつやは、眠いのを我慢して編集をした
一体いつになったら寝れるのやら...







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