第11話

無茶ぶり
1,102
2024/01/18 00:00
少しの仮眠が爆睡に……。
起きたら部屋に戻されてたよう……。私の部屋に……。



メイド服なくなってた……。



『小間使いは騙せても、俺たちは騙せない
 変身は無駄だから、諦めて姫として過ごせ』





えーー……………………。
小間使い
失礼致します。お食事の準備が整いました。
あなた
今日は疲れたのでやめておきます……。
小間使い
どうかなさいましたか……?
医者を呼びましょうか……?
あなた
いやぁ……。ただの気疲れですから……。
ちょっとここでゆっくりさせてください。
小間使い
では、食事をこちらに……。
あなた
ああ、大丈夫なので〜……。
小間使い
……でしたら、お腹がすきましたら、お呼びくださいませ。
あなた
はい〜……。






窓辺に座って、庭を眺める。


薔薇がとても綺麗だ。
あなた
帰りたい〜……。
これが口癖になりそうだ。












ジョンハン
ジョンハン
先日は、ウジを助けてくれてありがとう。
なんか来た……。本読んでたら来た……。
あなた
なんのことでございましょうか。
ジョンハン
ジョンハン
白を切るの?いいことをしたというのに。
あなた
身に覚えがございません。ウジ様のお姿はこの目で見たことがないので。
ジョンハン
ジョンハン
あの子は滅多に出てこないから。
でも、今日食事にウジ、出てきてたよ。
絶対に来ないと思ってたのにね。
そう言うあなたもお初にお目にかかるけれども……。
ジョンハン
ジョンハン
隣国へ仕事をしに行ってたから、今日初めて会うね。ジョンハンだよ。
存じ上げておりますとも……。
ジョンハン
ジョンハン
まさか、ウジの警戒を解くとはね。
看病しただけで……。
めっちゃ笑顔だけど、何か裏がありそうな顔してる。
あの小間使いが、警戒心強い人って言ってたのもなんとなくわかるような気がした。

目が完全に見定めるような目をしてる。
ジョンハン
ジョンハン
何した?
たった短い問いかけ。それへの答えが難しすぎる。
あなた
わかりません。私はウジ様とお会いしたことがないので。
ジョンハン
ジョンハン
なんでそんなに白を切るの?
あなた
白を切ってるつもりはございません。
事実でございます。
ジョンハン
ジョンハン
でも、ウジがおまえを探してたよ。
キョロキョロテーブルを見渡して、ここら辺を彷徨いて……。
何してんだよ。仕事をしろ、仕事を。

あなた暇じゃないんでしょ〜……?
ジョンハン
ジョンハン
ウジがそこまで懐いてるとは思わなかったよ。
あなた
懐かれていません。初対面ですらもございません。
ジョンハン
ジョンハン
ウジを手懐けたあなたに頼みがあるんだけど。
頼み=絶対やれ
あなた
………………。
ジョンハン
ジョンハン
そんなに警戒しないで。大したことじゃないから。
あなた
……なんでございましょうか。
ジョンハン
ジョンハン
もうひとり、警戒心の強い子がいるのを知ってるだろ。
ウォヌのことかぁ……?
ジョンハン
ジョンハン
ウォヌを懐かせてみてよ。
あなた
ちょっと無理がございます。
ジョンハン
ジョンハン
どうして。できるでしょ。ウジが成功したんだから。
あなた
成功したも何も、お会いしてませんって……。
それと、人をあまり寄せ付けていない方に近づくのは気が引けます。
ジョンハン
ジョンハン
成功したら、実家に一旦帰ることを許そう。
あなた
え。
一瞬、耳を疑った。
実家に帰っていい……?マジで……?
ジョンハン
ジョンハン
帰りたいって言ってただろ。一時的だが、帰ることを許してあげる。ウォヌを懐かせたらね。
そう言って、ジョンハンは立ち上がった。
ジョンハン
ジョンハン
それじゃあ、また。
無期限だからゆっくりやっていいからね。
ジョンハンは優雅に部屋から出ていった。





なーんだよ、あの王子は……。無茶ぶりが好きなのか……?
会ったことないって言ってるのに!
嘘だけど!!


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