【おめでとうございます】
妊娠発覚
嬉しいことかと思ってた
あれ、なんで笑えないの
『やったな!あなた!ありがとうっ』
無責任に喜ぶ和也
和也は悪くないのに...なんだかイライラして
「無責任に喜ばないで。どれだけ大変かわかって言ってる?産むのも、育てるのも」
『え、あなた...?』
「産んで幸せで終わりじゃない。この先ずっと、守っていくんだよ。和也は少しも怖くないの?」
『あなた...』
「ごめん、今日は帰って」
まだ同棲もしてなくて結婚もしてない私と和也
車で15分ぐらいだけど
和也も仕事が忙しくてなかなか会えない。
あぁ私なんてこと言っちゃったんだろ
子供作ろって言ったの私なのに
和也、私にありがとうって言ってくれたのに
あれ、涙、でる
・
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【お母さん、最近何かあった?】
「え...」
お医者さんはそこまでわかるのか
【...赤ちゃんが、あまり大きくなってないみたい。】
「...うそ、」
【お母さんの元気がないと、赤ちゃんは元気になれないから】
「.....はい」
【でも、大丈夫、お母さんが笑えば、すぐ大きくなるから】
「...はい」
うそ、ごめん、赤ちゃん、ごめんなさい
私のせいで、私のせいで大きくなれないの...
私が泣いてるせいで
泣いちゃダメ 泣いちゃダメ
そう思えば思うほど、溢れるものは止まらなくて
「ごめん、ごめんね、、」
『あなた、』
「!...和也、」
『誰に、謝って泣いとるん』
「赤ちゃん.....と和也」
『堕ろすとかいうん』
「え、、それは」
そんなことないっ!
って言おうとした時
視界が黒くなった、和也の匂いがした
気づいたら、ハグされてた
『あなた、無責任に喜んでごめん。でも、おれ、嬉しい。やって、あなたと結婚して子供と3人で幸せになれるんやろ?不安やろうけど、俺が傍におんねんで?怖くなったら、イライラしたら、俺に当たったらええ。それでええから、3人で頑張ろ。』
「和也.....ごめん、なさっ」
『もう謝るの禁止な、明日から俺休みやから気晴らしにどっか行こか』
「うんっ」
和也のおかげで
泣くことがなくなった
それに比例して赤ちゃんが成長する
【お母さん、頑張ってますね】
『ふら、笑えばええやろ?』
「うんっ」
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この子が産まれて3年
大変だった、たくさん和也に当たって嫌な思いも怪我もさせた、
でも、
今、
パパのおかげで幸せだね?
誕生日おめでとう、結夢
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!