寒空の下───
白髪少女ことシロは、木製棺から体を起こすと周りを見渡し、見覚えのない場所に唖然とした。
カァーカァー。
無数の木が生え、空を見上げれば曇り空の中で鳥類のカラスが二羽飛んでいた。
ここはどこ...わたしは...どこから来たの...?
わたしは......『白髪少女』で名前はシロだった。
曖昧な記憶しか思い出させないのは、目覚める前の記憶が無いのだ。
ひとまず、歩こうと黒く汚れた足を踏みしめながら前に進み、樹木が密集し変わらない風景からして、ここは森だと分かった。
あっ、町...みっけ。
数時間くらいが経過した頃、下山すると小さいな町並みが広がり、わたしのことを人々に尋ねてみることにした。
男の人は優しげな声色でこちらを振り向こうしたけれど、わたしを見た途端、豹変してしまった。
不気味なものを見るような目でわたしを見つめる。
以前の記憶は完全に無いのだけれど、二つの言葉は頭に入っていた。
一つ目は『白髪』少女は悪魔という不思議な存在の仲間だ、ということ。
二つ目は何度でも蘇ること。
だから、おじさんが生き返ったと驚いていても、起きた瞬間に比べれば、そんなに気にはしなかった。
男の子から投げつけられた硬い石が、わたしの頭に思いっきり当たった。
反動で、目をぎゅっとつぶったが、
と想像した痛みとは違い、全く感じなかった。
その反応にぎょっと目を大きく開いた女の子がこう投げかけた。
女の子も女の人も、みんな同じ。
わたしにはまるで感情がないみたい。
誰がどう見ようが、心が死んだように動かない。
なぜだろう、リアルを観る度に絶望される光景を知っているような気がする。
別の男の人が甲高く叫んだ合図と共に、人間が一点に向かってくる。
わたしは一歩も動こうとせず、逃げることのないまま、大きいな人間たちに捕まった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!