真下に急行落下する体に、この世界が
VRだと分かっていても怖くて
今までのバイトの日々が
走馬灯のように浮かび上がりそうだった。
でもそんな時、走馬灯よりも
真っ先に思い浮かんだのは課金。
そして爆死したこと。
課金した結果空腹で半死にした
私にとって、このまま終わるのは
全裸で町内一周するくらいの恥。
ただ現実はそう上手くいかなくて
どう足掻いても無理なものは無理だった。
近づく地面に、VRだから……
なんて腹を括って目をつぶった時。
落ちたのに衝撃はなかった。
だって──
私の体は帝によって受け止められていたから。
しかも何が屈辱かって、お姫様抱っこ。
落下時から今も鳴り止まない心音を
飲み込むように意地を張って、
…でも助かったのも事実で。
なんて、目すら合わせず
ぶっきらぼうに口を尖らせる。
そうすれば、帝の
小さく笑った声が耳をくすぐった。
その結果、" 貧乏姫 " という存在に
金で求婚してくるもの好きが現れた。
そうして始まる、貧乏姫争奪KASSEN……
それは一瞬で幕を閉じ、
私の発言で今日の配信も幕を閉じた。
他の歓声に紛れるようにして
流れていったコメント。
そこに、小さな蟠りを残して ──










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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!