大瀬くんの背中から手を離すと温もりが消え少しだけ寒くなる
上がっていた肩は下がった
今、君はどんな顔をしてるの?
固まって動かない彼に違和感を感じ声をかける
黙ったまま立ち上がった
本当にどうしてしまったんだろうか?
私一人ではひょろっとした彼でもナイフを離させることは出来ない
誰か男の人の手が必要だ
大声で理解さんを呼ぶ
なんだなんだ、何を誤解してるんだ?!
顔が真っ赤だ
あ!朝のやつ?!
誤解とけてなかったの?!!!
いやいや、今はそんなところじゃない
3人でわちゃわちゃやっていると、何とかナイフを話してくれた
全く、毎回取り上げてるのにどこから出してくるのか…
あの後理解さんがナイフを没収し、大瀬くんは絵の制作を再開した
申し訳ないことしちゃったかな
集中力切らしちゃったかな
そんなことを考えてると大瀬くんが独り言を呟く
そうだよね…
人に見せたくないものもあるよね…
って、引くのが正解なんだろうけど
だめ、引いちゃ
ここで引いたら一生後悔する
頭を下げてお願いをする
「しまった…」という顔をしてるけどそんなの気にしない
あたふたしてる大瀬くんをよそに私はキャンバスと向き合った
独特な世界観
色の配合とか独学なのかな?
完全に混ざりきってない絵の具がより深みを出してる
なぜこんなに死のうとするのか
私には分かるはずもない
驚いたけど嬉しい
そう思ってくれてたんだ
大瀬くんから見る私ってこんなに綺麗で
鮮やかで
幸せそうなんだ
最高な宝物がまた増えたよ
私が死んじゃっても、この絵が生き続けてくれる
前より死ぬことへの怖さは減ったかな…?
読んでいただきありがとうございます!














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。