スケートは思ったよりも楽しくて。
お互い、時間を忘れて夢中になっていた。
気づけば時計の針は5時を回っていた。
私と海人は近くにあったオシャレなカフェに入った。
椅子に腰を下ろして、一息つく。
日頃全然運動しないから、足が疲れちゃった。
私と海人は少し早いけど、晩ごはんも食べることにした。
私はサンドイッチセット。
海人はシーフードのパスタを頼んだ。
2人で料理が来るのを待つ。
私はカバンから事前に買っておいたプレゼントを取り出す。
海人がプレゼントを開ける。
私の心臓は、もうバクバク!
喜んでくれるかな……?
私が海人にあげたプレゼントは手袋。
海人、いつも学校に付けて来ないから。
多分持ってないのかなって思った。
藍色の毛糸の手袋。
海人はシンプルなものが似合うと思ったから、柄は無しにした。
海人がカバンを探る。
そして、袋を取り出す。
リボンのついた、可愛らしい袋。
私はガサガサと袋を開ける。
袋の中にあったのは……
赤い毛糸の手袋。
それが袋の中身だった。
シンプルだけど、小さなハートのワンポイントがある。
すごく、可愛い。
これって……?
なんだ……。
理由も同じじゃん。
ねぇ、海人。
私が学校に手袋を付けて来ない理由、知ってる?
手袋付けてなかったら。
海人が手を繋いでくれるかもって考えているからだよ。
海人は私が手が冷たいって言ったら、手繋いでくれるもん。
手袋あったら、できないでしょ?
だから、付けてなかったんだよ。
……でも、この手袋ならいいかな。
海人が選んでくれた手袋だもん。
海人からのクリスマスプレゼントだもん。
……嬉しい。
私は手袋を握りしめながら言った。
私の宝物だ。
海人からのクリスマスプレゼント。
一生大切にする。
私が海人に笑いかけたら。
海人も目を細めて微笑んでくれた。
それからそれぞれのご飯が来て。
私と海人はくだらない話をしながら食べたんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!