武器とは何か
死とは何か
貧しくても優しかった両親は北の赤旗が作ったAK-47で死んだ
装弾数30発
中型の7.62x39mm弾
歴史上最も使われた殺戮兵器
この太い弾薬で父と母は蜂の巣になって
翌日、気が付けば僕は反体制派の武装ゲリラの一員となっていた
武器は 人の命よりも何百倍も 重い
Eat shit
僕は永遠に 銃を憎む
冥暦 2056年
東欧某国
そんな幻想は胸にシマイ込み、どうやら僕はこの悪魔と契約をしなければならないようだ
ひょんな所から
冥 蛇黎と名乗ったこの武器商人と 世界を渡る事になる
高層ビル37階の渡り廊下を悠然と歩いて腕時計を忙しなく確認する老師
カツカツカツ...
黒と紅の牡丹柄のチャイナヒールが踵を鳴らして真っ赤な絨毯を泳ぐ
チャキ
ひょいと手渡したのは自動拳銃P8
軽量で耐久性にも優れ、無骨な角形スライドが何とも野生的で痺れる格好良さだ
悠々と歩き、今から入るドアの前に立つ二人の名を呼ぶ
ガチャ
クスリと意地悪っぽく笑うと勢いよくドアを開けた
バタァン!(開)
ニコニコ笑顔で背後からヌルトを引っ張り、“皆”の前に出して紹介する
その皆の反応は
《少年兵!?マジかよぉ~~~》
といったモノなのだが
口々と言いたい放題の部下たちに笑みを浮かべながら制止する
うへ...といった顔でヌルトに同情の目を向ける天遊
カタカタカタ...
「アリー」と呼ばれた男は自前のパソコンを動かしながら首を振る
フッと余裕そうに息を吐く
くるりと振り返って人を食ったような意味深な表情で問う
下を見て素っ気なく返す
しかし蛇黎は満足そうだ
パンパン!
すかさず手を鳴らして今回の護衛組を呼んだ
ーーーーー
ーーーー
ーーー
国道沿い高速道路_
《ハン、嬉しい事言ってくれるぜMr.極楽。流石、裏の戦争屋は謙虚だな》
《ケッ!、こっちの商売が上手くいかねぇのは全部イワン共のせいだ。陸路も海上も根こそぎ持っていきやがってあのイカれ女。手前が俺の忠告も聞かずにいつまで経っても腐れヴォルクスク人と手を組むからこうなるんだぜ?》
《その話はもういいだろうが。いつまでも燻る問題じゃあねぇ》
《あの狂犬とマトモに相対するバカが何処にいんだよ。古い話を持ち出しやがって》
《てめッ!俺を裏切るのk》
ブチッ
ピッ
やれやれと言い、スマホを切る
後部座席にて蛇黎を挟んで座る二人
ジャラ...
真紅のモーニングスターを手元に置き、さも当然そうに蛇黎の膝元に寄る
美花の髪を柔くすいてケラケラと笑った
右横に座ってずっと黙々と自身の機関銃を肩に掛けて手入れするネルトに声を掛ける
相変わらずの取っつきのなさに思わず苦笑する
その様子を見てむむ...といった顔と共にシャー!と猫のように威嚇する美花
フイ(横向く)
その態度にまたぷくぷくと頬を膨らませて怒る
ババババババババ!!!
突如、愉快な空間は車外の物々しい音で破られる事となる
ワザとらしく肩をすくめて戯けて見せる
珍しく口を開くヌルトを面白そうに見る
ドドンッ!!ドドド!!!!
ダダダダダダダ!!!!
そう言った瞬間_颯爽と機関銃を片手に空いた車上から武装した尾行車に向かって迎撃する
その手際の良さにハンドルを握る天遊も笑みを隠さない
ドドドドドド!!バラララ!!!!
ドギャッ!!
「ギャア!?」
「畜生あの餓鬼!応戦だ!徹底応戦!奴らを高速道路から引きずり下ろせ!!」
「ありったけの弾をブチ込んでやれ!」
数多の弾頭を掻い潜りながら的確に敵の頭蓋と武器を破壊していく
バララララ!!パパパンッ‼︎‼︎
タタタタッ‼︎キュインッ!カキンッ‼︎ダダダダダッ!!!
凄まじい銃声にも臆する事なく揶揄う
ズダダダダダ!!ドドドド‼︎‼︎
ゴォォオ__
ドカァンッ!
車のミラー越しで確認出来るのは派手な音を立てて横転して潰された車両が二つ。どちらも頑丈な仕様であろうが無様に炎上して半壊されている
そう言われると流石のヌルトでも眉を下げて困ったような表情を作る
炎上する後方を垣間見て呟く
同時刻
同国内閣執務室_
焦りを滲ませた切羽詰まった声と、軽快で余裕のある口調が響く
「おい仲介屋。話と違うぞ?何故本社の人間が此処にいるんだ。こっちは長らく平和続きで特殊部隊の真似事する連中しか雇ってない。誰が戦争屋と戦り合いたいんだか、、気が知れん」
「落ち着いてくださいよォ旦那」
「これが落ち着いていられるか⁉︎あの極楽商会を敵に回してこの先業界でどう息をしていくつもりだ!皆あの会社の息がかかっている。地の果てに逃げようとも奴らは俺の首を獲りに追ってくる。正しく猟犬だ」
「まあまあちょいと鎮まりなさいや。よく考えてみりゃあ良い。幾ら世界を牽引する商会だとしても今はマトモな武器も持たない手ぶらの商人。此処で奴らを仕留められる千載一遇の機会だとは思わねぇのかい?」
「な、、、ッだが奴らの大半は異邦人だとも!」
「おいおい若しかしてアンタもソレを信じてる口か?冗談よしてくれ。そんなの全部パフォーマンスさ。そう言えば他の競合やマフィア共とは距離を置けるし何より敵避けになる。今の時代どの組織でも使ってる常套句だ」
「それに、俺の口聞きで“部隊”も投入した。素っ裸の奴らは見事に骨の芯まで丸焦げだ。だからアンタはただ黙って部隊の連絡を冷静に泰然と待つんだ。それこそボスの器ってモンだぜ?」
「........奴は此処で殺せると?」
・・・・・・
「運が良ければな」
スーツ姿の年配の男は焦燥を募らせ、険しい目で眼前の中華風の男を睨む
・・・
「もし....もしコイツが輸出されれば...ッ、この国は........」
「間違いなく戦争になりますねェ」
「だが...御安心なすって下さいや。給料分の仕事はしますよ」
ニコッ
バババババ!!!パララ‼︎パララ‼︎
ドドドドド‼︎‼︎タタタタタッ!!パパパパンッ!!!
銃弾が飛び交う中、異常な耐久性の車両に違和感を持ち、少し眉を顰める
ブォォオオー‼︎
「よーぉ商会さんよ、俺らと港までドライブしようぜ」
先程のバンとは打って変わり、重装の分厚い装甲車両が姿を現す
中に乗っている輩も上下BDU装備。手持ち武器も彩り良い
一筋縄ではいかなさそうだ
ガタ
専用武器にキスをして老師に振り向く
タン(屋根に乗る)
キキキキ‼︎(車寄せる)
トッ
軽やかに飛ぶと瞬時に装甲車に乗り移り
「!?」
ドスッ!
一番近くにいた兵士の喉を仕込みナイフで突き刺す
ジャラ...!!
そしてその反動で半歩後退り、一瞬で中の人間全員を把握すると
バキキッ!!
血を被った真紅の獲物を剥き出しにして
__ゴヂャッ‼️
全敵の頭を吹っ飛ばした
輸送船にて_
大きな横長のダイニングテーブルで昼食を待つ一向
ジュゥゥウウ...
ガチャガチャガチャ
一心不乱にフライパンのタマゴを動かす音が聞こえる
その様子を横から見ているジクト
バシャバシャ(塩胡椒入れる)
ガチャガチャ
刹那、気まずい沈黙が流れる
その結果どうなるのか
まあ...見越せるだろう
カタン...
老師が無言でフォークを置く程だったという事は黙っておこう
この場にいる全員が思った
カチャカチャモグモグ
食に対する愛ほど誠実な愛はない



























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。