【 摂津のきり丸の場合 】
関係:恋仲
「 えッ、いきなり何なんスか?!」
私の恋仲である一年は組のきり丸くん、アルバイトで忙しいのは分かるけど最近構ってくれなさすぎる⋯!今日こそ自分の方を見てと言わんばかりに壁ドン(通せんぼ)を実行すると、彼はビックリしたような顔で目を丸くした。
「 あ〜⋯その顔、もしかして俺と会えてなくて寂しかった⋯とか?流石に浮かれすぎか⋯ 」
への字眉の私を見ると何かを察したようにそんなことを口にする彼。" 寂しかった " と、素直に頷きながら言うと頬をポリポリかきながら申し訳なさそうに、
「 ⋯コレ、あなたに似合いそうだなって⋯渡したかったけど金稼がないと足んなくてさ、アルバイト短期間すっげェ増やしてた。⋯寂しい思いさせてたら世話ないよな、ごめん 」
可愛い簪(かんざし)を手渡され、自分のために頑張ってくれていたことが分かり凄く嬉しくなる。理由が分かると " ありがとう " と伝え、仕事に戻ろうと踵(きびす)を返すと腕をグイッと引かれ彼の腕の中にスッポリおさまる。
「 寂しい思いさせた分、埋め合わせしたいんスけど⋯今からいいッスか?⋯って、あなたが可愛すぎてダメッて言われても俺が離せそうにないけど、 」
【 綾部喜八郎の場合 】
関係:両片思い
「 んー⋯?あなたか、どうしたのこんな夜更けに 」
いつものようにせっせと落とし穴を掘っている彼。片思いしてからそんな彼の元によく行くが、穴掘りに夢中で中々手があかないのは寂しい⋯そんなことを思いながら寝ついた日、夜更けに目が覚め少し散歩をしていたら彼の姿が目に留まり見ていると、彼もこちらに気付いたようで声をかけられた。
「 おやまぁ、寝付きが悪くて目が覚めてしまったと⋯君が良ければ少しだけ僕に付き合ってくれない? 」
泥が払われた綺麗な彼の手が差し出される。おず、っと相手の手を握り返したはいいもののそのままバランスを崩し彼の方へと体は倒れてしまい、
「 ッと⋯君さぁ、ホント鈍臭くて危なっかしいよねぇ。こないだも何もないところで転んでたでしょ?⋯なんで知ってるって、⋯いつも見てるから 」
落とし穴ギリギリの場所で抱き止めてもらい、間一髪で助かるが片思いしている相手にそんなことを言われ冷静でいられるはずもなく頬が染まっていくのが分かる。
「 ⋯そんな可愛い顔するってことは、期待していいってことだよね。僕さ、あなたのこと好きだから恋仲になりたいんだけど⋯君の答えは?」
染まった頬を彼の手が添えられ、恥ずかしさから震える唇で相手の名前を呼びながら想いを伝える。
「 ッ⋯ん、よく言えました。そうだなぁ⋯いい子にはご褒美あげないとだよねぇ⋯ご褒美は、君の好きな甘味くらい甘い僕からの口吸いでどう? 」
【 尾浜勘右衛門の場合 】
関係:両片思い
「 俺がカッコいいって噂されてた?⋯ふぅん 」
こないだ小耳に挟んでしまった片思い中の彼がくのたまの子にモテモテだという話。はぁ⋯とため息を吐きながら歩いていると彼に声を掛けられ、何を落ち込んでいるかと聞かれればサラッと素直に口がそうボヤいていた。
「 なんでそれ聞いてあなたがそんなに落ち込むの?でっかいため息までついちゃって、勘ちゃん理由知りたいな〜⋯? 」
落ち込む理由なんて一つしかない、好きな人がモテモテなんて他の子に取られちゃいそうで⋯なんて本人に口が裂けても言える訳ないよ。なんて思いながらパッと顔を上げると喜びを堪えるようなニヤケ顔の彼がいた。
しまった!全部口に出てた!?そう思いその場から逃げようとしたが、身体ごと抱き寄せられ包まれる。
「 は〜⋯可愛すぎ!え、ウチの子可愛すぎない!?そっかそっか、俺が取られちゃうって不安になったんだ。大丈夫だよ、あなたのこと好きだしあなたしか見てないから 」
突然の彼からの告白に口がパクパクなるわ目が点になるわで頭の中はごちゃごちゃである。そんな私を他所に彼は私を抱き上げればとろけるような甘い笑顔で、
「 これからはあなたが不安にならないように沢山俺の気持ち伝えるし、四六時中ベッタリくっついとくつもりだから!⋯あなた、大好きだよ 」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!