「わぁぁぁぁぁ!!!」
響き渡る歓声と、大きい音楽。
初めてライブハウスと呼ばれるものに来た。
誘ってきたのは今、
隣で楽しそうにペンラを振っているあなただ。
初めてのせいで緊張しているからか、
あんまりノリにのれない。
それに気づいたようで、彼女は心配そうに
のぞき込んできた。
いらぬ心配をさせてしまったかもしれない。
軽く微笑みを見せて、すぐにステージへ
視線を戻した彼女。
その横顔を複雑な思いで眺める。
思い出すのは、あのカフェでの出来事。
他の男と一緒にいたのは、黒と見てもいいだろう。
友達、というには、少し無理がある距離感だった。
彼女は今、どんな気持ちで俺といるのだろう。
楽しい?嬉しい?
それとも___面白くない?
彼女の気持ちは一つも分からない。
慌てて、楽しむ様子を見せる。
今日も軽い気持ちで、
適当に俺を誘ったのかもしれない。
だけど、それでいい。
渋々渡された一日でもいい。その一日でキミに縋る。
「今日だけでも」「あと一晩だけでも」と___。
それほど、キミを愛しているから。
ライブの途中で、完全に盛り上がりを
見せているときだからだろうか。
急に声をかけた俺に怪訝そうな顔を見せるあなた。
ねぇこの質問をしても、
俺のそばにキミはいてくれるかな?
Next.














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。