バンドマンが甘いの好きなのはキャラ崩壊か?
可愛いって、
なんだか楽しそうに見つめてくるジョングクがむず痒くて、俺はあからさまに話を逸らした
ジョングクはたどたどしく、少し気をつかっているようにそう言った
また、困らせてしまったのだろうか
嫌われたくない、
" ジョングクは失礼なことなんて言ってないよ "
言おうと思っていた言葉は、見事に頭だけで終わり、口からは出なかった
前に言われたことがあった
女性の客が、カフェでブラックコーヒーを頼んだ
俺は、粋がってなのか、抵抗してなのか、自分もブラックコーヒーを頼んだ
届いたコーヒーを飲むと、久しぶりだったからか、いつもより倍以上苦く感じて、俺は思いっきり顔に出した
相手の女性は苦笑いしていた
俺の記憶では、その女性は俺を指名して3度目だったが、次が来ることは無かった
原因は分からない、けれど、その時のあの顔が俺は忘れられない
ジョングクは笑って、俺のそんな陰気な言葉を包むようにそう言った
おかげで俺は、少しだけ気持ちが楽になった
それからは明太フランスを見つけ、すぐにレジでお金を払い、外に出た
グクside
パン屋さんから出たあと、テヒョンさんはドアの前に置いた傘を持ち、当たり前のように僕寄りにさしてくれた
男2人入っているから本来なら肩が濡れていいはずなのに、僕の肩はすっぽり傘に収まっている
こんなに近くにいて、話をしないでいるのに、なぜだか気まずくない
それどころか透明の傘から空を見る余裕だってあった
上をむくと、傘についた水滴がキラキラ光っている
どうして?雨が降っているはずなのに
横でそんな子供のような声が聞こえたから、咄嗟に見たら、声に負けないほど無邪気に、楽しそうに笑っていた
長い前髪が、風で靡いて、僕を見るテヒョンさんの目がよく見えた
初めて見た、子供っぽくて明るくて、弾けるようなテヒョンさんの笑顔だった
不思議なくらい、世界の全てが、美しく見えた
もう慣れた街並みも、傘に差し込む日光も、すぐ近くにあるように感じる虹も、足元に輝く水溜まりも
あともう少しで届きそうなテヒョンさんも
また嬉しそうに笑うテヒョンさんの瞳に沢山日光が入った
まるで傘の上で輝く水滴のように
雨上がりって、こんなに綺麗だっただろうか
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名前 パクジミン
年齢 20歳
職業 レンタル彼氏
誕生日 10月13日
夢がなかった学生時代、テヒョンにレンタル彼氏に誘われ仕事に就いた
ジョングクがテヒョンのことを好きになった生い立ちや、思いは全て知っており、応援している
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!