第11話

第11話
1,240
2024/05/28 11:39


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え、

バンドマンが甘いの好きなのはキャラ崩壊か?
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次々に甘いもの…可愛いですね
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はぁ、?

可愛いって、
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で?何が食べたいの?

なんだか楽しそうに見つめてくるジョングクがむず痒くて、俺はあからさまに話を逸らした
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ごめんなさい、なんだか失礼なこと言っちゃいました
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けどテヒョンさん、クロワッサンにブラックコーヒーみたいな、
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オシャレなイメージだったから、

ジョングクはたどたどしく、少し気をつかっているようにそう言った

また、困らせてしまったのだろうか


嫌われたくない、

" ジョングクは失礼なことなんて言ってないよ "
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変、かな

言おうと思っていた言葉は、見事に頭だけで終わり、口からは出なかった
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大人になったら飲めるかもって思ってたけど、コーヒーはいつまでも飲めないし
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バターだけのクロワッサンの味、まだ良さに気づけてないんだよね、ㅎ

前に言われたことがあった

女性の客が、カフェでブラックコーヒーを頼んだ

俺は、粋がってなのか、抵抗してなのか、自分もブラックコーヒーを頼んだ

届いたコーヒーを飲むと、久しぶりだったからか、いつもより倍以上苦く感じて、俺は思いっきり顔に出した
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テヒョン、キャラじゃないね、ㅋ

相手の女性は苦笑いしていた

俺の記憶では、その女性は俺を指名して3度目だったが、次が来ることは無かった

原因は分からない、けれど、その時のあの顔が俺は忘れられない
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分かります!僕も、はっきりした味が好きなのか、クロワッサンはまだ、ㅎ
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それに僕なんかコーヒーはおろか、カフェラテだって苦いくらいですよ

ジョングクは笑って、俺のそんな陰気な言葉を包むようにそう言った

おかげで俺は、少しだけ気持ちが楽になった
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分かる、ㅎㅎ

それからは明太フランスを見つけ、すぐにレジでお金を払い、外に出た





グクside

パン屋さんから出たあと、テヒョンさんはドアの前に置いた傘を持ち、当たり前のように僕寄りにさしてくれた

男2人入っているから本来なら肩が濡れていいはずなのに、僕の肩はすっぽり傘に収まっている


こんなに近くにいて、話をしないでいるのに、なぜだか気まずくない

それどころか透明の傘から空を見る余裕だってあった

上をむくと、傘についた水滴がキラキラ光っている

どうして?雨が降っているはずなのに
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あっ、!虹だ!
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え?



横でそんな子供のような声が聞こえたから、咄嗟に見たら、声に負けないほど無邪気に、楽しそうに笑っていた

長い前髪が、風で靡いて、僕を見るテヒョンさんの目がよく見えた

初めて見た、子供っぽくて明るくて、弾けるようなテヒョンさんの笑顔だった
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ほら見て、虹!

不思議なくらい、世界の全てが、美しく見えた

もう慣れた街並みも、傘に差し込む日光も、すぐ近くにあるように感じる虹も、足元に輝く水溜まりも

あともう少しで届きそうなテヒョンさんも
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綺麗…ですね
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綺麗だね!

また嬉しそうに笑うテヒョンさんの瞳に沢山日光が入った

まるで傘の上で輝く水滴のように






雨上がりって、こんなに綺麗だっただろうか




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名前 パクジミン
年齢 20歳
職業 レンタル彼氏
誕生日 10月13日

夢がなかった学生時代、テヒョンにレンタル彼氏に誘われ仕事に就いた
ジョングクがテヒョンのことを好きになった生い立ちや、思いは全て知っており、応援している



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