第21話

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2026/02/26 13:00 更新


月が高く昇ったころ。



訓練所の裏手、中庭にひっそり佇む1人の少女──玲那。
昼の出来事がずっと頭から離れない。


胸がざわつく。

意味も分からない感情が心を締めつける。








──その時。














大橋 和也
大橋 和也
……なにしてんの、こんな時間に。


静かな声とともに、風が揺れる。


振り向くと、そこには大橋。
手をポケットに入れて、いつものように気楽な足取り。

だけど──目は笑っていなかった。




(なまえ)
あなた
……ちょっと、考え事。
大橋 和也
大橋 和也
そっか。


大橋はそのまま、隣に腰を下ろす。


しばらく、ふたりの間に沈黙が落ちる。
虫の鳴き声と、遠くの水音だけが響いている。





大橋 和也
大橋 和也
……………今日さ
(なまえ)
あなた
……?
大橋 和也
大橋 和也
……部屋、入って悪かったな。邪魔するつもりなかってん。
(なまえ)
あなた
……いや、決してそんなのじゃなくて……その…えっと、すみません。


少し沈黙が降りたあと。



(なまえ)
あなた
……あの時、大橋さん……怒ってました、?

大橋 和也
大橋 和也
……怒ってへんよ。
(なまえ)
あなた
…………
大橋 和也
大橋 和也
……ただ、


大橋 和也
大橋 和也
……お前が、誰かに取られんの、なんかムカつくなって。
(なまえ)
あなた
…………っ


目を見開く玲那。
けれど、大橋は目をそらして続ける







大橋 和也
大橋 和也
……意味分からんな。自分でも。
でも……お前が楽しそうに笑ってたの、
俺じゃなかったのが、なんかずるいなーって思っただけ。

(なまえ)
あなた
……そんなの、
大橋 和也
大橋 和也
気にせんでええよ。


ふっと笑う大橋。けれどその笑顔は、どこか苦しくて。





大橋 和也
大橋 和也
俺、こう見えても子供やねん。
拗ねんねん、結構。でもな──

玲那を見て、ちゃんと目を合わせる。



大橋 和也
大橋 和也
……お前が強くなりたいって思ってるのは、ちゃんと知ってる。
俺はそれ、ちゃんと応援する。ほんまに。
(なまえ)
あなた
…………ありがとうございます。


玲那がそう呟くと、
大橋はふっと優しく笑って、立ち上がる




大橋 和也
大橋 和也
……明日、朝一から訓練あるで。寝ぇへんと、また俺に負けるで?
(なまえ)
あなた
……は、?勝つし。
大橋 和也
大橋 和也
ふはっ、言うやん。ほな、おやすみ。


手を軽く振って、背を向けて歩き出す大橋。
その背中は、どこか寂しげだった。




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