朝焼けが差し込む広場には、
いつもよりも緊張感のある空気が漂っていた。
大橋の声が響く。
それでも、大橋の目は本気だった。
玲那は勢いよく走り出す。
だけど異世界の重力か、靴の違いか、
うまく地面を掴めない。
っ、なんでこんなに足が重いの!?
振り返れば、
大橋が軽々としたフォームで追いかけてくる。
全力疾走した先、へとへとになりながらゴールに到着。
玲那は地面に膝をつきながら、心の中で絶叫した。
続いてやって来たのは、小さな湖のような水場。
澄んだ水の奥は底が見えない。
ドボンッ
震えながら泳ぎ出したその時。
水面に、なにかぬるっとした影が――!!
水面から顔を出したのは、
タコのようで、クラゲのようで、
でも目が3個あるという――完全に異形の生物だった。
必死に岸へ泳ぎ戻る玲那。
濡れたまま連れてこられた森の中。
次は“動物の気配を感じ取る”訓練らしい。
大橋が木に耳を当てながら、
「ここ通ったな」とつぶやく。
玲那も真似して木に手を当てて――
……気配とか、全然わかんないんだけど
そう言って草をかき分けた瞬間。
ガサガサガサッ……ブヒィイイイイ!!!!!
突進してくるのはまさかの猪(超特大)
玲那が逃げ回るなか、遠くから声が。
森の高台で、静かに一人立つ謙杜。
手元には、魔法で動くメモ帳と万年筆。
木の陰から、玲那が猪に追われる姿も記録される。
ひとり小さくつぶやきながら、
彼は冷静にページをめくっていった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。