ぴくっ!
俺に声をかけられて
体を大袈裟に震わせた彼女は
自分の顔を腕に押し付けるようにして
身を守るようにきゅっと小さくなる
待って、俺出会って数分で嫌われた?
地味にショックを受けながら
「…誰か連絡して欲しい人います?」
見たところバックのなどの持ち物は
何も無い彼女に、コートのポケットから
スマホを取りだしながら聞くと
弾かれたように顔を上げた彼女は
ブンブンと勢いよく首を振る
っやめて!
口をパクパクさせてそう言いたかったのだろう
まだ春は遠い冬の夜
暗い路地裏で僕が見つけたのは
ボロボロになって声を失った天使だった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。