第29話

# 好きになるため
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2024/05/07 14:35
セイティス・あなた
あなたの妹の名前はさ、才能あるよね。
セイティス・あなた
私、正直死ぬほど羨ましかったの。
私より努力してないくせにって。
あなたの妹の名前
……?
セイティス・あなた
けど、考えが変わったの。

セイティス・あなた
私やっぱり、才能なんていらない!

そう言って、にこっと微笑む。
セイティス・あなた
結局、あなたの妹の名前のことが羨ましかったのは、
あなたの妹の名前みたいに褒められたかったからなの。
セイティス・あなた
けど今はね、褒められなくても良かったって
思えるようになったんだよ。
セイティス・あなた
自分で自分を、
褒めれるようになったから。
あなたの妹の名前
なにそれ、…
セイティス・あなた
だからもう、いらない。

あなたの妹の名前は終始困惑しているようだった。
セイティス・あなた
別に私の事、
貶しても嫌ってもいいよ。
セイティス・あなた
私は、私以外の評価、
どうでもよくなったから!
セイティス・あなた
あなたの妹の名前もずっと、
あなたの妹の名前の価値観で過ごしていけば!

今ではすこし、あなたの妹の名前や、私の家系の悪魔を憐れむ。
だって、知らないんでしょう。
努力して、答えを見つけたときの快感を。
そりゃあ、天才や才能がある悪魔が努力しないという訳では無いけれど、

才能がない私みたいな悪魔の努力量と、感情を。
セイティス・あなた
じゃあ、私。
このあと用事あるから。

私は鞄をさっさと家へ置いて、
家から出ていった。

外へ出て、のんびり息を吸いながら、散歩をする。










私はこれから先も一生セイティス家として生きていくし、
それに意義を唱えるつもりもない。
もしかすると一生、唯一才能のない悪魔として
憐れられることもあるかもしれない。



でも。

私は今でもフルートのこと、そんなに好きじゃないし、自分のこともそんなに好きじゃないけれど。

私は、「才能なんてないから」って
泣いてあげないし、傷付いてもあげないから。
プルソン・ソイ
あ。
セイティス・あなた
あ、プルソン君!

私が1人、散歩をしていると、
学校帰りか、プルソン君とすれ違った。


そういえば、プルソン君と喧嘩していたような…、
なんて考えていると、プルソン君が口を開く。
プルソン・ソイ
…今日の音、
1番良かった。
プルソン・ソイ
すごいね。笑

喧嘩なんてしたことをまるっきり忘れたように、
賞賛してくるプルソン君に、少し笑ってしまう。

セイティス・あなた
でしょ!笑

あのとき、プルソン君が怒った理由、
やっとわかった。

プルソン・ソイ
ねえ。
プルソン・ソイ
どうして好きじゃないのに、
音楽してるの?

ああ、この質問。

やっと私、答えられるようになったよ。



セイティス・あなた
好きになるため!
セイティス・あなた
私が、私自身と、フルートを。
好きになるために、音楽するの!


いつか、幼い日に描いた夢は。

私の中で、笑っているような気がした。



完結〜!!あとがきも投稿されてるはずなので
よければお願いします!


あとちなみに、この作品や私に対して
質問とかあればください!


ほんとにおねがい質問くださいおねがい((

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