《あなたside》
あれから1週間。
次、リノに会うのは1週間後。
音沙汰はない。
正直、あの意味深な言葉が気になる。
あの言葉の意味を考えると、おかしくなりそう。
来たのはあの公園のベンチ。
後ろからザッと足音がする。
まあ、公園だし誰でも通るから、そう思っていた。
どんどん、足音が近づいてくる。
もしかして、
そう思って後ろを振り返る。
なんだか、がっかりした自分がいる。
もしかして、リノかもしれない……そう思っていた。
心のどこかでリノの顔を見たいと思っている自分がいる。
こんな時リノだったら、一緒に座ってくれた
そんなことを考える。
そう言って隣に座るイエニ。
予想外だ。
夜空を眺めて、深呼吸してる。
なんだか、静かにしているイエニが不自然でじっ、と見つめていたみたい。
すきなひと……
パッと顔が思い浮かんだのは、リノ。
だけど、異性として好きなのか、ただの興味なのか、友達として好きなのか、それがまだ自分の中でわからない。
イエニがふっ、と顔を逸らした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。