そう言って死神は図書室のドアを開け____
____ずに、当然の如くドアをするっとすり抜けていった。
ドア開けろよ。
死神の後を追うため、俺はいつも通りドアを開けて入ろうとしたのだが、
するっと手が通り抜けてドアを触れなかった。
諦めて死神のように真正面からドアに突っ込む。
木のドアに頭突きしそうでちょっと怖かったが、意外とすんなり中に入れた。
良かった良かった、途中で引っかかったりしなくて。
中に入ると、死神が鎌を構えて立っていた。
と言っても肩に掛けて突っ立っているだけだが。
実はこの鎌、自動追尾式らしく、最初は死神の背中を追って、少し離れた距離をふわふわ浮いていた。
俺の家の中で。死神自身から少し離れた距離を。
めちゃくちゃ俺に当たりそうだった。
見ていて怖すぎるので、しまっておいてくれとお願いしたのだ。
家にそんなもの持ち込むな、という話である。
とにかく、死神が鎌なんて持ちだすなんて今まで無かったのだが……
唐突な質問。
アレ、と死神が目で示した方を見てみると、
……そこにはナニカがあった。
否、ナニカが居たと言う方が正しいだろう。
何故なら、そいつは物のようで、物ではなかったからだ。
何してくれてんのお前と、俺は力なく呟いた。
何を隠そう、俺の目と鼻の先におぞましい黒いもやもやが4体もいたのだ。
あれ見た事あるぞ。
死神が玄関で寝ていたあの日、事情説明の後にあいつが掴んで消滅させてみせたあの黒い影みたいなやつだ!それの仲間なのだろうか。
正直とっても怖い。
もやもやしてるのにぐわーって所々尖ってるようにも見えるし意味わからん。
なんと言うか、威圧感がすごい。
……多分それは俺の目線より、少し上の方に浮かんで居るからなのだろう。
必然的に、もやもやが俺を見下ろす構図になっている訳だ。
そりゃ、威圧感も増すというものだろう。
決して俺がビビりなわけではない……
と、思いたい。
得体の知れないものを目の当たりにして恐怖している というのもあるが、それに加えて、数の有利をあちらに握られているのが良くない。
そら、集団で囲まれたら誰でも怖いよね、という理屈である。
その恐怖心に視覚情報が煽られているのか知らないが、
目の前のもやもやが、激昂し今にも殴りかかって来きそうな知り合いに似ている気がした。
心なしか、目が有り得ない程つり上がって激怒しているように見える。
……なあもやもや、そんな、親のかたきを見るような目で見なくてもいいじゃないか。
ちょっと泣きそうである。
いい笑顔で断言してんじゃねぇよ!!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!