二人で居酒屋に集まった今日。
酒を何杯か煽り時間もそれなりに経ってきた頃。
酔いが回って静かになっていた時、沈黙を破ったのはまぜちだった。
ナニを想像しているのか、まぜちは目を瞑って口角をあげながら言った。
いや、別に。出来るとか全く思ってないし。
やっぱ、その…YouTuber魂がさ!?
多分既に1分くらいやってる。
二人とも黙ってしまったから、リビングが驚く程に静かだ。
ぷーのすけは黙って見ててくれてるけど、俺がやってる行動って普通に変人ムーブすぎるのでは。
突然、ぷーのすけの首が、かくんと下に向いた。
下を向いてるぷーのすけの顔の前で手を振って聞いてみても、反応はなし。
今度は急に、顔を上げてくれたけど、口がはくはくと動いてるだけで、目は合っているのに言葉が聞こえない。
ぷーのすけはそれきり喋らない。
目を泳がせてキョロキョロしている。
…本当なら、今だけは普段出来ないような事も出来てしまうんじゃないか。
ソファからおりて、少し離れた位置にあるカーペットに座って名前を呼んでみる。
ぷーのすけはソファに座ったまま目を見開いて俺の方を見た。
それからまた少し目を泳がせた後。
近づいて、俺の膝に頭を乗せて、天井を見上げるように俺と目を合わせたまま寝転んだ。
確定だ。猫だ。
普段なら何言っても「女々しくなるのが気持ち悪い」と言って絶対してくれないぷーのすけが、反抗を微塵も見せずに膝枕にのってくれるなんて。
ぷーのすけが、俺にデレてくれる日がくるだなんて…
いや、デレてるとはまた違うのかもしれないけど…
…懐く?懐いてくれてる?
頭を撫でると、また一瞬驚いた顔を浮かべた後、顔を俺のお腹の方に向けて、俺に委ねるかのように目を瞑った。
ゆっくりと撫で続けていると、ふと疑問が浮かんだ。
そう言うと目線だけが俺に向けられて、ぷーのすけは返事かどうかも分からない瞬きをひとつする。
言ってから固まる。
何言ってんだ俺、恥ずかし…
いつもやられてばっかだし、とか思ったんだけど。
というかそんな事より、ぷーのすけの戻る気配が一切感じられないこの状況。
普通に考えて、少しまずいのでは…?
あっきぃに呼ばれて入ったあっきぃん家のリビング。
見れば、俺の言葉に焦ったあっきぃと、後ろからガッチリホールドしてるぷーのすけの姿。
あっきぃが言うには、さっきまで膝枕してたらしいんだけど…。
俺を呼んだってぷーのすけに伝えたら、途端に動いたらしい。
見たかった。
なんかいつもより睨みをきかされている気がする。
じーっとぷーのすけを見てると、ぷーのすけの口がパクパクと動いた。
おっけ〜、と軽く返事をしたまぜちは、片手をぷーのすけのお腹に回して、ひょいっと効果音が付きそうなくらいに軽々と、担ぐように持ち上げ、リビングを出てからドアを閉めた。
ぷーのすけは変わらず声を発さなかったけど、持ち上げられて視界が反転した途端に目を見開いて驚いたり、まぜちのことをボカボカと両手拳で殴っていたから、やっぱり猫みたいだなって思った。
案の定喋ったぷーのすけは俺に担がれたまま、嘆いて言葉を繋げた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。