第19話

熱に浮かぶ日
208
2026/03/21 23:54 更新
朝、目が覚めたときから、少し世界が遠かった
天井がゆらゆらして、頭の奥がじんわり痛い
(、…変だな)
起き上がろうとしてやめた
身体が言うことを聞かない
喉もからからだった
……りうちゃ、?
呼んだつもりだったけど、声はほとんど出なかった
ドアが開く音がして、しょうにぃの影が差し込む
…、いむくん、?
近づいてきて、頭に手が触れた瞬間
しょうにぃが息を吸うのがわかった
…、熱、高いな
その言い方が前と違った
怒ってない
責めてない
……学校、いけない、…
そう言うと、しょうにぃは、首を横に振った
今日は休み
それから、病院にいくで
(…ぇ、?)
いいの、?
聞いたら、しょうにぃは少しだけ困った顔をした
"いいの、?"じゃない
具合悪いって言えたの、正解やで
その言葉に胸の奥が暖かくなる
病院から帰ると、
頭がぼーっとして、目を開けているのも辛かった
布団に入れられて、
体温計の音がぴっと鳴る
……結構あるな、
ないにぃの声
いふにぃは、珍しく静かだった
インフル、やって
その言葉に、一瞬だけ怖くなった
(…、また迷惑かける)
でも――
だから、今日は全員マスクな
りうちゃんは、近づきすぎんといてな
水、こまめに飲ませるよ
次々に出る声は、全部僕のためだった
(…怒られない)
それがまた少し不思議だった
昼過ぎ
熱でうとうとしていると、小さな気配を感じた
……いむに、?
りうちゃんだった
マスクが少し大きくて、ズレている
だめやぞ、近づきすぎ
しょうにぃに止められながらもりうちゃんは一生懸命腕を伸ばす
いむに…、いたい、?
…、ちょっとだけ、
そう答えると、りうちゃんは、一瞬考えてから言った
…ねんね、したら…、…治る
その言葉が、熱でふらふらな頭に、優しく落ちてきた
……、うん
りうちゃんは満足そうに頷いて、離れたところから、手を振ってくれた
夕方
喉が渇いて目を開けると、枕元にコップが置いてあった
起きたん、?
しょうにぃだった
…、ごめん
何が、とは言わなかった
でも、しょうにぃはすぐに否定した
謝らんくていい
今は、治すのが仕事
その言葉にすこしだけ笑いそうになった
……りうちゃん、?
今日は、早く寝かせた
それを聞いて、なぜか安心した
(……ちゃんと家が回ってる)
前は、自分がいないと怒られてる気がしてた
迷惑をかける気がしてた
でも今は、「休んでいい」って言われてる
熱はまだあるけど
心は少し静かだった
布団の中でぼくは思った
(具合が悪くなったら、優しくしてもらえるのかな、って、前はそんな事を考えてた)
でも、今は具合が悪くなくても、ちゃんと見てもらえてる
それがなにより嬉しかった
ドアの向こうで兄たちの小さな話し声がする
その音を聞きながらぼくは目を閉じた
(……大丈夫、ちゃんと治る)
熱に浮かびながらそう思えた夜だった
ねくすと⇒『もう一度、始める朝』
ほんとーに遅くなってすみません……
小説を書いてない間にもう一ヶ月がたとうとしていて、びっくりしました、
これから、ほかの小説も頑張って更新していきます(たぶん)
みなさんすごく前ですけど、インフル大丈夫でしたか??
これから花粉症のシーズンなので、体調に気をつけてくださいね!!

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