朝、目覚めた瞬間に浮かんだのは、としみつの笑顔だった。
……夢じゃなかった
まだ少しだけ唇が火照ってるような気がして、
布団の中で顔を隠しながら、ゆっくりとその夜の記憶をたどる。
あの時の声、あのキス、全部覚えてる
嬉しくて、照れくさくて、泣きそうになって──
でも、心のどこかがちゃんと安心している。
ようやく、叶った恋がそこにあると感じられる朝だった。
スタジオでのネタ会議日。
今日も2人は自然に隣に並んでいた。
でも、いつもの“自然体”とは違う。
少しの沈黙さえ心地よい。
としみつがさりげなく指先で取ってくれて、ふと目が合った時、つい口元が緩んでしまう。
すると、としみつも照れくさそうに笑って言った。
でも嬉しい……
2人だけの小さな世界が、今ここにある。
ネタ会議後
人気の少ない所で、としみつがぽつりと呟いた。
2人の視線が自然と絡まる。
まるで、心が言葉より先に繋がっているみたいに。
そして、としみつがそっと手を伸ばした。
差し出された手と手が、ゆっくりと重なる。
その瞬間、私は驚いた。
肩を並べて歩く帰り道。
握った手からじんわり伝わるぬくもりが、
これからの未来を照らしているような気がした。
その夜。
ベッドで横になりながら、トシの寝ているクッションに目をやる。
トシは目を閉じたまま、小さく口角をあげた。
優しくて、どこか切ない声だった。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。