外に出ると、冷たい夜風が吹いていた。
テオくんとイルミネーションを見に行くことにした。
テオくんと二人横に並んで歩く。
本当は、今から行くイルミネーションはみやと見に行く予定だった。
でも誘う勇気が出ないし、テオくんにした。
簡単に言えば、代わりみたいなもの。
テオくんが代わりなんて知ったら、どう思うかな
嫌われちゃうかな
でも今の俺にはテオくんしかいない。
みやにも嫌われちゃえば、もう側にいてくれるのはテオくんだけだ。
だからみやの代わりならテオくんとイルミネーションを見に行きたいと思った。
だって、大好きな “ 親友 ” だから。
でも、行けるならみやと行きたかったな。
…だめだめ。みやの事はもう忘れよう。
みやだって俺のことなんてもう頭にないと思うし。
みやの事考えると、なぜか気持ちが沈む。
だから今はそんなこと忘れよう。
顔を上げると、遠くにキラキラ輝くものが見えた。
小さなイルミネーションをたくさん使って作られた、大きなクマさんのオブジェ。
ここからでも綺麗に感じられるほど大きい。
今の俺らの楽しさに、勝てるものはないってほど楽しんでやろうと思う。
みやの事なんてなかった事のように。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。