訓練が終わり、部屋で一息つく。
今日も、音波を使った技を考案していた。
そういえば、と、もらったメモ用紙を見て、心操くんにメッセージを送る。
しばらく待っていれば、心操くんから返事がきた。
「相澤が忙しくなければ、明日の朝今日と同じ場所で会わない?」だなんて。
私は全然構いませんが、心操くんの方こそ、忙しくはないのだろうか。
そう思いつつ、「ぜひ、お会いしましょう」と返事をした。
翌朝、いつもより少しだけ早く起きて、約束の場所へ向かう。
心操くんの捕縛布……改め操縛布の練習に、付き合わせていただけるようだ。
私も、体術の練習をしたかったし、都合がいい。
そう思って、快く承諾した。
少し早かったですかね。
そう思いつつも到着すれば、心操くんがまた絡まっていた。
解くお手伝いをして、また操縛布を心操くんの肩に乗せる。
昨日振りですね。
ジャージの砂埃を払う心操くんに、問いかける。
確認するように言われて、咄嗟に頷く。
本気、ですか。
舐めてかかっているというわけではないですが、少し心配ですね。
でも、相手は真剣なのですから、それには応えるのが礼儀というものですよね。
カウントを終えて、組み敷いた腕を緩める。
最後少し強く抑えすぎたかな、なんて一人反省をしながら、立ち上がった。
続けて心操くんも立ち上がって、肩を回している。
まったく奇妙なことであるが、肩を揺らしながら言う心操くんが、どこか寂しげに見えた。
経験に勝るものなし、というのも、案外当てになるものだったか。
「私の弱点だって、言ってましたっけ?」と続けながら、額の汗を拭う。
言われてみて、自身の後ろ側に目線をやる。
……まぁ。
これはまた、新しい視点を。
反動で……確かに、尾鰭は筋肉の塊のようなものですし、可能かもしれませんね。
尾鰭は泳ぐための器官、という前提が、妨げになっていた。
この超常社会だ、常識にとらわれる必要なんて、どこにもない。
こちらも好きでやっているので、無理ってわけでも無いですが……まぁ、いったところで、ですかね。
そう言って、その場を後にした。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!