必殺技を編んで、いよいよ仮免試験当日を迎えた。
コスチュームを抱えながらバスに揺られ、試験会場へたどり着く。
お父さんの古い知り合い、プロヒーローで教師も務めるMs.ジョークとその生徒、それから士傑高校の生徒とも軽く挨拶をして、一次選考が始まった。
一次選考が始まってしばらく、他校の生徒によってクラスメイトと分断されてしまったのだ。
体育祭で“個性”が割れている以上、我々雄英生は若干の不利にある。
ただ、プロになればこんなことは当たり前。
そう思って、お父さんも伝えてこなかったのだろう。
早いところ、察しておけばよかった。
ひとまずは周囲の状況確認が必須か、音波で索敵を開始する。
必殺技の訓練や林間合宿を通して、索敵可能範囲や時間が拡大されたのだ。
惜しみなく行こう。
……だけど。
岩石が邪魔をして、ほとんど意味を為さない。こういう面でも、対策されているのだろうか。
なかなかの上手技。
流石は一学年上、“個性”と向き合ってきた時間が違う。
練度も、コントロールも一枚上手だ。
試験もそろそろ終盤。
身を隠しつつ上手いこと合流できればいいですが……
隠密行動は、苦手です。
少し移動したところで、ボールが複数飛んでくる。
音波で察知したはいいものの、全てを避け切ることは難しいか。
一つだけ、ターゲットに掠められてしまった。
よく、調べられている。
私が不得意な間合を、相手は常に崩さない。
ただまぁ、仮免許試験の前にあれだけ“個性”伸ばしをして、必殺技を編むのはきっと、このためなのでしょうね。
林間合宿、それから夏休み中の圧縮訓練で強化した、私の技。
なるべく広い範囲に、相手を怯ませる低周波を。
その一瞬の隙で、距離を詰める。
これもまた、圧縮訓練で身につけた、移動技術。
手足よりも筋肉量の多い尾鰭を使って、走り出しの瞬発力を得ている。
尾の使い方は尾白くんに教えていただきましたが、技の原案は心操くんだ。
本当に、心操くんはいつも良いことを考えついてくれますね。
そのままの勢いでロッドを振るい、私を囲んでいた生徒たちを薙ぐ。
かなり手荒な手段を取りましたが、お許しください。
すぐさまターゲットとボールを触れさせて、規定の人数をリタイアさせる。
ターゲットからのアナウンスに従って、すぐに移動をした。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。